週刊文春とニコニコがタッグ 「斜陽産業」雑誌の希望の光となれるか

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   老舗週刊誌とインターネット界の雄がタッグを組む。週刊文春と、ドワンゴとニワンゴが運営する「niconico」が2014年4月2日に共同会見を開き、ブログ機能などが使えるサービス「ブロマガ」を使い、「週刊文春デジタル」の配信をこの日から始めたと発表した。

   最高で約90万部を誇ったという発行部数が、今や約70万部に減ってしまった週刊文春。他の週刊誌も軒並み部数を減らす中、ニコニコとの取り組みで雑誌業界復興の道筋を作れるだろうか。

「心血注いで作ったコンテンツを無料配信することはない」

握手を交わす西川氏と川上氏(左から)
握手を交わす西川氏と川上氏(左から)

   「ブロマガ」は公式動画配信サイト「ニコニコチャンネル」で、ブログやメールマガジンの機能が利用できるサービスだ。堀江貴文氏やデヴィ・スカルノさんら著名人も配信を行っていて、14年3月時点で有料会員は13万人を超えている。

   今回始めた「週刊文春デジタル」では、グラビアページと連載ページ以外の全特集記事を、週刊文春発売日の毎週木曜朝5時にメールで配信。ニコニコチャンネル上では最新号を含め過去5冊分読むことができる。記事は電子書籍フォーマットのePUB形式でダウンロードできるので、PCやスマートフォンなどに保存しておけば何冊分でも読み返すことが可能だ。

   料金は月額864円で、紙の週刊文春が1冊400円なのに比べ割安に設定されている。

   ブロマガのほか、ニコニコチャンネル上で「ただ週刊文春の中吊り広告を流すだけの生放送」など、動画配信も予定しているという。

   文藝春秋 常務取締役の西川清史氏によると、今回のサービスを始めるにあたり「雑誌業界全体が苦境に立たされ、週刊文春も70万部を維持するために現場は大変な思いをしている。デジタルで何とか支えられたら」という思惑があったそうだ。

   懸念されるのは、ブロマガの開始によって雑誌の部数が減少することだが、「ニコニコのユーザーは10~20代が中心で、週刊文春を毎号買って読む層ではない。ブロマガで得た読者はニューカマーだと予想されるので、マイナスは少ないと判断した」という。

   無料での配信を考えなかったのか、という質問が記者から飛んだが、「心血を注いで作ったコンテンツを無料で提供することは考えなかったし、今後も予定はない」と断言した。

   ドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏は、「若者は週刊誌を読まなくなったというけど、週刊文春の記事でまとめサイトやツイッターが炎上することは多い。今までは売り上げにつながらなかったが、ブロマガではネットで盛り上がっていた層が取り込めるのでは」と自信をのぞかせた。

「親しき仲にもスキャンダル」ニコニコが問題を起こせば追及

終始「ニコニコ」した会見となった
終始「ニコニコ」した会見となった

   「週刊文春がニコニコのスキャンダルを取り扱わなくなるのでは」「ニコニコニュースに週刊文春の炎上ネタが掲載されなくなるのでは」ということも気になるが、これについては両社ともキッパリと否定した。

   週刊文春は「親しき仲にもスキャンダル」を信条としていて、ニコニコや川上氏が何か問題を起こした場合は厳しく追及するという。西川氏は「身辺を清廉潔白に保っていただければ」と川上氏に注文を付けていた。

   ニコニコニュースに関しては、ドワンゴは一切チェックしていないため、たとえ文春の悪口を書いた記事が配信されても、チェック体制がなくコントロールできないので、そのまま掲載されてしまうとのことだ。

   ちなみに川上氏は現在、岡山県在住の人物から「川上氏が使用する無線通信によって騒音や振動が発生し、健康被害を長期間にわたって受けている」として訴訟を起こされているが、西川氏は「今回の件はショボすぎて記事になりません」と話し、報道陣の笑いを誘っていた。

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