消費増税直前の2014年3月に、冷蔵庫などの家電製品が値上げされていたと、ネット上で話題になっている。どうやら、ある理由で、そのような傾向はあったようなのだ。
この話題が盛り上がったのは、ITコンサルタントの永江一石さんが2014年3月31日、ブログで詳しく分析したことがきっかけだ。
ブロガー「駆け込みで買った人、大損!!!」
永江さんは、増税で損得が大きい高価格帯の冷蔵庫について、価格.comで調べてみたと明かした。価格推移グラフをみると、この価格帯で一番人気のパナソニックの製品は、1月は22万円台ぐらいで平均価格が変動している。ところが、3月になると、24万円台ぐらいと約10%、2万円以上も平均価格が上がっていた。永江さんは、15万円以上の冷蔵庫でレビュー評価がトップの製品を選んだらしい。
そのうえで、永江さんは、増税される4月は、売れないのでもっと下がり、3万円近くお得になると指摘した。冷蔵庫はオープン価格なので、店は需要のある時期は価格をつり上げ、そうでないときは、値下げするからだ。
この傾向は、安い価格帯の冷蔵庫でも同じだとした。また、ブルーレイレコーダーの一番人気製品も、約10%、5000円ぐらい上がり、オーブンレンジについても同様だった。10%以上値上げが大半だったといい、永江さんは、「消費税アップ前に駆け込みで買った人、大損!!!」と書いている。
ただ、家電製品のうち、パソコンやカメラについては、ネットリテラシーが高い人が買うとして、値上がりは見られなかったとした。
永江さんは、「マスコミが『増税前に皆さん買ってます』という報道をすると『わたしも買わなくちゃ』的に慌てて買いまくる」「世の中は情報をゲットできない人が損をするようにできている」とも言っている。
ブログでの指摘は、ネット上で大きな反響を呼び、様々な議論が出ている。
4月からも、在庫次第で値が下がらない?
永江一石さんに共感する声としては、「こんなカラクリがあったとは…」「株と同じですもの『み~んなが欲しい時は高い』^^」といった書き込みがあった。また、政府が2009~11年に導入したエコポイントのときも、終了後に大幅な値下がりがあったとの指摘もあった。
一方、今回の値上がりについて、「安い店が売れて品切れになっているだけ」「引越しシーズンだし、白物家電の需要も高まるから」と、消費増税によるものとは言えないとの意見があった。
価格.com運営会社のカカクコムでは、価格推移グラフの平均価格について、在庫がなくなった店は平均を出す計算から外されるため、安い店で売切れれば平均価格が上がる可能性があることを取材に認めた。もっとも、売り切れれば、消費者は事実上、高い商品を買わざるをえなくなる恐れはあるようだ。
また、今回の値上がりは、引っ越しシーズンだからとも言えないと明かした。
「増税前には、大型の家電商品情報へのアクセスが例年より多くありました。10万円台後半から20万円台が人気で、価格の上昇傾向が見られます。製品にもよりますが、売れ筋などの人気ランキングの上位は、特にそうです」
14年1月や2月前半が底値になっていた商品が多く、そこから上昇したという。
ただ、買いだめを見越して、メーカー側で生産調整がうまくいっており、4月からは、在庫がそれほど多くなければ、値が下がらないのではないかとした。エコポイントのときは、生産調整がうまくいかなかったため、値が下がった可能性があるようだ。もっとも、経済の状況次第では、今回さらに値が下がる可能性もないとは言えず、状況は必ずしも見えていないとしている。