ガールズバーで、客に酒を出したり会話を交わすなど接客していた女性は実は小学6年生(12)だった――そんなトンデモ事件が報道された。
この小学生児童がアルバイトを探し経営者と連絡を取り合っていたのが、またもや未成年の犯罪や、イジメにつながると問題になっているスマートフォン用無料通信アプリ「LINE(ライン)」だった。
「まさか小学生だとは思わなかった」
埼玉県警川越署は2014年3月31日にガールズバーで小学6年の女児を働かせたとして、飲食店経営の男(28)を児童福祉法違反の疑いで逮捕した。川越署に話を聞くと、女児は川越市にあるカウンター10席ほどのガールズバーで夜に働き、客に酒や飲食を提供し会話を交わすなどの接客をしていた。この容疑者は別の17歳の女性を18歳未満と知りながら働かせたという風営法違反の容疑で14年3月13日に逮捕されていて、さらに調べたところ女児を働かせていたことが発覚した。女児は2月頃から約1か月働いていて、その間も小学校に通っていたという。女児の身長は比較的高かったため、容疑者は、
「18歳未満かもしれないとは感じていたがまさか小学生だとは思わなかった」
と供述しているという。
ではどのような経緯で女児はガールズバーで働くことになったのか。使われたのはスマホ用無料通信アプリ「LINE」だ。女児はアルバイトを探そうと「LINE」内にある募集告知を検索しているうちに容疑者のものに行きついた。男と女児が「LINE」を使って連絡を取り合いアルバイトの採用を決めたのだが、18歳未満の可能性があったにも関わらず採用してしまったのは人手不足が原因だったようだ。容疑者はブログやフェイスブックをやっていて、13年3月3日には、
「川越のとあるガールズバーで働きませんか?僕が経営するお店です。年齢は18歳以上」
と告知し、自分の携帯番号を掲載し、同15日にも「いい仕事はありますからー」と呼びかけたのだが、同6月15日には
「もうすぐでもう1店舗出るのに女の子が足りない。なんかいい方法ないかなぁ?」
と悩んでいた。
スマホ情報で願望や妄想がエスカレート
川越警察署はガールズバーで働いていた女児について、
「親の教育がなっていなかったというのが一番だが、本人はお金が欲しくなり好奇心からガールズバーを選んだようだ。色んな情報がスマホを通じて入ってきて、願望や妄想がどんどんエスカレートした結果なのではないか」
と考えている。
この「LINE」、子供にとって無料でしかも手軽ということが魅力なのだが、これを使ったことで犯罪に巻き込まれたりイジメが起きたりといったニュースが増えている。13年6月には新潟市内で、当時22歳のホストが小学6年生だった女児を強姦したという容疑で逮捕された。2人は交流サイトで知り合い「LINE」で連絡を取りあっていた。広島県呉市の山中で高等専修学校の女子生徒が13年6月に殺害された事件では、元同級生の少女(16)が「LINE」で友達の悪口を書き込まれたから殺したと供述した、などと発言し衝撃が起きた。
愛知県刈谷市では、イジメや犯罪に巻き込まれないように14年4月から中学校小学校生徒のスマホ使用を21時以降は原則禁止にしようという呼びかけが行われた。親にスマホや携帯を預けることで「LINE」などの使い方を考えてもらおうという試みになっている。