「ジャンボジェット」として親しまれたボーイング747型機が2014年3月31日、日本の民間旅客機としては最後の営業飛行を終えた。国内線向けに747を導入したのは日本の航空会社だけだったが、需要が頭打ちになって大型機の必要性が薄れたことや、新型機と比べて燃費が劣るというのがその理由だ。
ただ、海外の航空会社では747はまだまだ健在で、中でも気を吐いているのがドイツのルフトハンザ航空だ。12年には新型の「747-8」と呼ばれる機種を導入し、「唯一747-8に乗れる航空会社」としてアピールしている。日系航空会社との戦略の違いが際立つ形になっている。
JALは10年の経営破たんで一足早くリストラ
747は、「いざなぎ景気」真っただ中で、大阪で万博が開かれた1970年に日本の空に初めて登場。パン・アメリカン航空が3月に初めて乗り入れ、7月にはJALが羽田からホノルル便を就航させた。1985年にはJALが乗員乗客520名の死者を出す墜落事故も起こしたが、国際線を中心に11年3月まで活躍した。
ANAは1979年に747を初めて導入し、現行の747-400型機は1990年に導入。最も多い時(1998~99年)で39機を保有していたが、最後の1機(JA8961)も3月31日、那覇発羽田行きのNH126便で最終飛行を終えた。4月には米国に回送され、解体される。これで国内の旅客航空会社からは747はすべて姿を消すことになる。
747は「空の女王」「空のベンツ」といった異名を持ち、揺れが少なく乗り心地が良いとされる反面、新型機と比べると燃費の悪さがネックとされてきた。
ANAの篠辺修社長はラストフライト前の囲み取材で、
「今日の(ラストフライトで飛ぶ)8961も、機齢でいくと20年を少し超える。どうしても20年程度になると、整備の機会を多くする必要がある。結局、その分コストがかかるようになる。従って、経済性の面では787や777にはかなわない」
と退役に理解を求めた。また、一足先にリストラ策の一環として747を退役させたJALは、10年の経営破たんで路線を大幅に削減し、飛行機が余ることになったという事情もある。