麻生太郎財務相も「簡単な話ではない」
現状が世の中の流れに反しているのは疑いない。1980年代、専業主婦世帯1100万、共働き世帯600万程度だったのが、21世紀を前に逆転し、2012年は共働き1054万世帯、専業主婦787世帯と差が拡大している。
もちろん、女性が家庭に居るか、働きに出るかは個人の選択だが、「現行制度は専業主婦を過剰に優遇している」(税理士)のは明らか。「働くか働かないか、どの程度働くかという女性の働き方の判断に影響を与えない中立的な制度にするには、配偶者控除廃止が筋」(政府税調関係者)ということになる。
ただ、理屈通りにおいそれと廃止できるかは疑問だ。自民党には「母親は家で子育てすべきだ」という保守的な家庭観も根強い。昨年の参院選の政策集で「配偶者控除の維持」を掲げており、麻生太郎副総理建財務相も「簡単な話ではない」と認める。
配偶者控除を縮小・廃止すれば専業主婦のいる世帯を「狙い撃ち」にした増税になるため、反発を招くのは必至。自民党の野田毅税制調査会長は「(制度を)残したままでどう調整するかが知恵の出しどころだ」として、縮小を念頭に置きながらも、所得税全体のあり方を含め、慎重に議論する考えを示している。