【震災3年 復興へ前を向く(最終回)】
「今はもう支援してくれた人に恩返しする立場です」 最高級ホタテにこだわる海の職人の気概

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大企業依存から脱却し「釜石ブランド」の海産物がほしい

厳しい目で良質のホタテだけを選別する(写真は君ヶ洞さん提供)
厳しい目で良質のホタテだけを選別する(写真は君ヶ洞さん提供)

   震災を期に、君ヶ洞さんはコミュニティー再建にも力を注ぐ。「NEXT KAMAISHI」という団体で、地元の人たちと街づくりのために知恵を絞る。

   実は震災前、こうした動きは見られなかった。

「釜石でも、隣近所との付き合いが緊密だったとは言えません」

と明かす。いまひとつ疎遠だった住民たちが、地元の危機に「気取っている場合じゃない」とばかりに立ち上がった。仕事の合間を縫って各自が時間をつくり、真剣に話し合う。そこから「身の丈に合った活動」として、2013年に地元の祭りを3年ぶりに復活させた。まずはひとつの成果を形として出した。

   本業を通じての故郷の発展にも、考えを巡らせる。釜石は「鉄の街」として、歴史的に大企業の恩恵を受けてきた。だが、いつまでも企業に依存する体質には疑問を呈する。漁業に従事する身としては、同じ三陸でもサンマや毛ガニで有名な宮古、大船渡のように「釜石ブランド」の海産物が欲しい。今は、高品質の魚介類を釜石で収穫、加工、出荷する仕組みを整えたいと望んでいる。

   古くからの顧客との信頼関係は、震災を経ていっそう固くなるように努めてきた。これからは自分の会社だけでなく、釜石や三陸の漁業発展へ貢献すると意気込む。

「今はもう、支援をしてくれた人たちに恩返しする立場です」

   君ヶ洞さんは、こう強調した。(終わり)

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