【震災3年 復興へ前を向く(5)】
至るところで「かさ上げ」進む気仙沼 街は再建に向けて歩み始めたが…

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一軒家を再建しても「災害危険区域」となれば立ち退き

かさ上げされた土地。道路を走る車よりも高い場所もある
かさ上げされた土地。道路を走る車よりも高い場所もある

   市の建築住宅課に確認すると、現段階では災害危険区域ではない内湾地区に、建築上の明確な規制はないそうだ。ただし、浸水を想定して建物の基礎部分のかさ上げを求めている。震災後に市と住民との間で街づくりに関する話し合いが何度ももたれており、当初はかさ上げする高さについて1~2メートルを想定していたが、その後は防潮堤の建設を含め津波対策が具体化されていったため、現在では「あくまでも目安」だが50センチ程度上げるよう市側では要請しているそうだ。

   記者が見た限り魚町周辺では、数は少ないが震災後新たに建った商業ビルや、津波に耐え抜いた建物を改築して使っているところが見られた。それぞれ自己負担でかさ上げし、商店や事務所として再開しているようだ。

   また、一軒家を自己責任のうえで新築しても、ルール上は許される。ただ、今は内湾地区の取り扱いは保留されているに過ぎない。建築住宅課によると、今後災害危険区域に指定されたら住宅は立ち退きを迫られることになると話す。前出の佐々木さんは、元の場所に家を建てるのを諦め、移転を決めたと明かした。現時点で、内湾地区の取り扱いが具体的にいつ決定するかが明確でなく、時間的に長引く恐れがある。

   高く盛られ、固められた土の上には大型の漁業施設がオープンしていた。「漁業の街」気仙沼も、産業に勢いを取り戻す明るい兆しが見えてきている。半面、中学校の校庭につくられた仮設住宅で暮らす人は、住み慣れた土地に今も戻ることができない。

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