意識を失ったことがよかったことも
脚の血管が押しつぶされたのは、駅に入る回送列車のスピードが落ちていたことや、車輪に大きな重量がかかっていたことも理由として考えられるという。それでも、体を動かすと大量出血する恐れがあり、男性が意識を失って動かなかったことが結果としてよかったこともありえるそうだ。
ただ、大友康裕教授は、切断された左脚を再び元のところに着けるのは、難しいかもしれないとの見方を示した。手当ての時間が早ければ可能性はあるものの、6時間近くも経っているからだという。
一方、唐津署や唐津市消防本部に取材すると、男性が助かったことについて、脚の血管が圧着して止血効果が出た可能性はあることを認めた。
男性がほとんど覚えていないのは、泥酔したまま線路に転落し、頭を打って意識を失ったためなのか。それとも、頭を打っていなくても、電車にひかれたショックから意識を失ったのか。
この点について、唐津署の副署長は、自ら線路に降りるのは考えにくいとして、転落などの可能性はあるとした。しかし、男性が意識を失っていたのは、頭を強く打ちつけたためかどうかなどはまだ分からないという。
なお、電車の運転士は、男性をひいたことに気付かなかったといい、見回っていた警備員も、線路脇に男性が倒れていることを見つけられなかった。唐津署では、男性について目撃もなく、服装の乱れもないことなどから、事件性は薄いとみている。