「なぜ日本は9トンもプルトニウム持っているのか」 安倍首相、核サミットでAP記者に追及される

中国外務省「核物質の需要供給バランスが崩れると核拡散のリスク」

   公然と日本の核物質大量保有に疑念を示したのが中国だ。外務省の秦剛報道官は2月28日の会見で、

「こういった(プルトニウムやウランといった)慎重に扱うべき核物質の需要供給バランスが崩れると核セキュリティーが潜在的な危険にさらされ、核拡散のリスクをもたらすことになる」

と、やはり「持ちすぎ」を批判。その上で、

「日本政府には責任ある態度と、(1)日本には高濃縮ウランや兵器級ウランが存在するのか(2)どのくらいの量があるのか(3)ウランの利用目的は何か(4)需要と供給が均衡しているか、といった疑問に対する明確な回答を求めたい」

と要求している。この批判に対しては、菅義偉官房長官が3月24日の会見で、安倍首相と同様の答弁をしたうえで「中国の批判はまったくあたらない」と反論している。

   日本は日米原子力協定で、核燃料の再処理について米国から事実上「特別待遇」を受けている。日本以外は核燃料の再処理を行うにあたって、処理を行うたびに米国から同意を得る必要があるが、日本だけその必要がない。核保有国以外で米国が核燃料サイクルを持つことを認めているのは日本だけだ。だが、使うあてもない核物質が国内に残留するということは、さまざまなリスクが膨らむということであり、核拡散を防ぎたい米国の立場とすれば基本的に看過できない、というわけだ。AP通信記者の質問は、そうした米国のスタンスを踏まえたものといえそうだ。

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