欧米金融各社は中国や東南アジアの方が、日本より重要
オリックスが買収するハートフォード生命は、貯蓄性の高い「変額年金保険」に強みを持つ。設立は2000年と日が浅い新興勢力だが、13年末の保有契約数は37万5000件、契約高は2兆3000億円。リーマン・ショック前までは変額年金のシェアで国内首位に上り詰めただけあって、規模は小さくない。医療保険を中心に約200万件の個人契約があるオリックス生命とすみ分けながら、グループとして一段の成長を遂げる可能性があると見込んだようだ。
一方、国内市場攻略に悩む外資系はリーマン・ショック以降、撤退ムードが強まっている。ハートフォード生命もリーマン前までは順調に契約を集めたが、リーマン・ショックで運用成績が悪化したため、2009年に新規販売を停止。米国の親会社は日本事業をあきらめ、売却先を探していた。
日本国内で変額保険を展開していた独アリアンツも、リーマン・ショックの打撃が大きく、2012年1月から新規販売を停止。英保険大手のプル-デンシャルは日本の生保事業を担う傘下のピーシーエー生命保険を、元野村証券の北尾吉孝氏が率いる「SBIホールディングス」に売却することで合意した。「欧米金融各社にとっては、中国や東南アジアなど今後の成長が見込める新興国の方が、日本より重要になりつつある」(大手行)との見方も出ている。