オリックスは、米保険大手ハートフォードの日本法人「ハートフォード生命保険」を買収する方向で最終調整に入った。買収額は900億円程度と見られる。オリックスは富裕層が多いハートフォード生命の顧客基盤を生かしてグループの保険事業を拡大する方針。外資系生保は日本市場で苦戦が続いており、再編が加速する可能性もある。
オリックスは2014年4月、創業50周年を迎える。リース事業を中心に成長し、2000年代に拡大した不動産事業が収益の水準を高めて発展した。ただ、2008年秋のリーマン・ショックで、不動産に傾斜した経営があだとなる。赤字に陥ったわけではないが、2009年3月期の最終利益はピーク(2007年3月期、1965億円)の約10分の1の219億円に落ち込んだ。
宮内義彦会長の強いリーダーシップで「変身」
ただ、変わり身の速さがワンマン経営の良い所でもある。機を見るに敏な宮内義彦会長の強いリーダーシップで、不動産事業はギュッと絞る一方、保険をはじめとする「リテール」と呼ぶ分野や、海外事業にカジを切る戦略をとった。最近では太陽光発電ビジネスにも注力している。もともと何をやっている会社か説明しにくかったが、その傾向がますます強まっている。
今回のハートフォード生命買収もリーマン後の路線転換の延長線上にあるようだ。オリックスは傘下にオリックス生命保険があるが、主力商品は医療保険。高齢社会が進展するなか成長の余地がある分野ではあるが、大手や外資、損保系生保が入り乱れて競争も激しい。国内のがん保険ではガリバー的存在のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)といえども盤石とは言えず、2013年夏には新商品の保険料の値下げに踏み切る状況になっている。