西アフリカ・ギニアで2014年2月以降発生した「謎の病気」は、エボラ出血熱と判明した。感染は首都コナクリに広がり、隣国まで拡大中のようだ。
予防用のワクチンは開発されておらず、一度感染すると症状の進行が速く死に至る確率が高い。遠隔地での出来事だが、日本への影響も心配だ。
国境を越えて感染広がれば初めてのケースに
国連児童基金(ユニセフ)は2014年3月22日、ギニアでエボラ出血熱の感染者がこれまでに80人確認され、子ども3人を含む少なくとも59人が死亡したと発表した。現地では、感染した患者に接触したヘルスワーカーも8人亡くなり、患者に対する医療行為の遅れにつながる恐れがある。
エボラ出血熱はウイルス性の感染症で、病気を発症した患者の血液や唾液、排せつ物に触れた場合、あるいは病気に感染した動物に触れたり、その肉を食べたりした場合に感染する。特別な治療法や予防のためのワクチンはない。発熱やおう吐、下痢などの症状が起き、病状が進行すると体の各部位から出血して死に至る。致死率は25%~90%と、きわめて高い。
国立感染症研究所によると、1976年にアフリカ・スーダンとザイール(現コンゴ民主共和国)で初めて感染が報告された。スーダンでは感染者284人中151人が、ザイールでは318人中280人がそれぞれ死亡した。その後もアフリカのコートジボワール、ガボン、ウガンダで1994年以降たびたび発生している。近年では2012年、ウガンダでの事例がある。厚生労働省によるとこのときは24人の患者のうち、11人が亡くなっている。今回はギニアだけでなく周辺国のリベリア、シエラレオネでも感染が疑われる死者が出ており、死因がエボラ出血熱だと確認されれば国境を越えて感染が広がった初めてのケースとなるようだ。
外務省の「海外安全ホームページ」を見ると、ギニアは現在国内の政治状況が不安定なことから、首都をはじめ大部分の地域で「渡航の是非を検討してください」となっており、一部地域は4段階中2番目に危険度が高いことを示す「渡航の延期をお勧めします」となっている。これに加えて3月24日、現地でのエボラ出血熱に関する情報を提供したうえで、渡航や滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策をとるように呼びかけている。