大槌町内にある二つの小学校と二つの中学校で、2014年3月12日と3月19日に卒業式がありました。震災時、小学校の卒業生は3年生、中学校の卒業生は6年生でした。児童、生徒たちは、多くの試練を乗り越えて新たな門出を迎え、羽ばたいていきました。
大槌小学校の90人の卒業生は震災時、旧大槌小、旧安渡小、旧赤浜小、旧大槌北小の3年生でした。それぞれの小学校は被災し、被災を免れた吉里吉里小学校を間借りし、震災の年の秋には仮設校舎に移りました。昨年4月に4小学校が統合されて新生大槌小学校が誕生し、今回の卒業生は、新生大槌小学校の第1回の卒業生です。菊池啓子校長は式辞で、「震災後の3年間、一歩、前に踏み出すあなたたちに助けられ、先生たちも頑張れた。ありがとう」と振り返り、碇川豊町長は来賓あいさつで、「あなたたちは復興の希望。まっすぐに歩んでほしい」と語りかけました。
大槌小学校の卒業式の前日の3月18日、6年生の児童が大槌町役場を訪れ、復興にかかわっている応援職員に感謝の気持ちを伝えました。町役場では247人の職員のうち118人が全国の自治体などからの応援職員です。6年生を代表し、4人の児童が復興局都市整備課の職員に、手づくりした町のマスコット「おおちゃん」のキーホルダーや、町を紹介した作文を手渡しました。「大槌町のために来ていただいてありがとう」という児童の感謝の言葉に、都市整備課の青木利博課長が「プレゼントありがとう。大槌の良さをかみしめて仕事しています。出来るだけ早く、いい町をつくります」と答えました。
大槌中学校では108人が卒業しました。卒業生は震災の時、小学校6年生で、直後に中学校に進みました。震災により、当時、在籍していた大槌小、安渡小、赤浜小、大槌北小は被災し、今回、卒業する生徒たちは、避難所になっていた城山公園体育館で卒業式をしました。着の身着のまま、長靴をはいたままで参加した子どもたちもいました。
3年間過ごすはずだった中学校は津波と火災で全壊し、新入生は被災を免れた吉里吉里中で入学式をし、そのまま間借りをして授業を受けました。間借りは半年間に及び、その年の秋に、現在の仮校舎に移りました。生徒によっては、避難所から通学するという想像もしなかった中学校生活になりました。
大槌中の鈴木利典校長は「どんな境遇にあっても、それを乗り越えていくことを皆さんは教えてくれました。震災ですべてを失ってしまったかのように見える被災地に、逆境に負けず、たくましく生き抜いた中学生がいたことは、必ず後世に語り継がれることでしょう」と式辞を述べました。
卒業生の代表の兼沢颯(はやて)君は「震災で人の優しさや強さ、支え合わなければ生きていけないことを改めて知りました。旅は始まったばかりで、壁にぶつかることがあるでしょう。3年間の思いを胸に、一歩ずつ前に進んでいきます」と答辞を述べました。
(大槌町総合政策課・但木汎)
連載【岩手・大槌町から】
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