若者が街を離れていたら本当の復活は望めない
それでも遠藤さんは、W杯が釜石に活力をもたらすと信じて疑わない。「震災前から、街は過疎化に悩んでいました。復興で、たとえ建物が元通りに整備されても、住民にとって目標になるような『楽しみ』がなければ、街の再建が果たせるでしょうか」と訴える。廣田さんも「今は住宅再建が最重要で、ラグビーどころじゃないと考えるのは理解できます。でも、住居など『ハード』の面で充実したとしても、その時に大勢の若者が街を離れていたら釜石の本当の復活は望めません」と話す。
現状では、ラグビーを習う地域の子どもを招いてのパーティーや、釜石在住の外国人と地元民との交流会開催と、小規模ながら地道な活動を積み重ねている段階だ。懸案の出張カフェや、新日鉄釜石の流れをくむ地元のラグビークラブ「釜石シーウェイブス」との交流も視野に入れる。
「ニュージーランドW杯で感じた、人と街の熱と一体感を釜石でも実現したい。そうすれば地元の人と、世界中からやってくる観客との交流も生まれるでしょう。復興の先に釜石が国際色あふれる街になれば……そんなビジョンを掲げています」
遠藤さんは笑顔を見せた。