春闘で賃上げ回答目立つ 消費増税で生活は良くなるのか?

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物価上昇は避けられそうにない

   日銀は4月から消費税率が3%上がるのに伴い、2014年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が対前年度比で2%程度上昇すると見ている。税率引き上げ幅の3%より小さいのは家賃、授業料、診療代など、税率引き上げの影響を受けない品目のウエイトが全体の3割弱にのぼるためだ。これに消費増税以外の物価上昇も含めると、年間の物価上昇率予想は3.3%(政策委員見通しの中央値)となる。消費税率アップの影響を除くと、「今年の前半くらいは1%台前半で推移し、その後徐々に上昇していく」(黒田東彦総裁)とみているわけだ。

   民間のエコノミストの間でも「4月からの消費増税で消費者物価指数が2%押し上げられる」とみる向きが多い。さらに、「2013年の輸入コスト増に対して、十分な価格転嫁ができていない企業も多く、消費税率引き上げに当たって、未転嫁分を合わせて値上げする企業が増える可能性があり、実際には2%が上振れる可能性がある」(第一生命経済研究所・新家義貴主席エコノミスト)との指摘もある。

   事実、日銀はアベノミクスの第1の矢である「量的・質的金融緩和」で「物価安定の目標」を2%に置いて金融緩和を進めている。「2014年度の終わり頃から2015年度にかけて2%程度に達する可能性が高い」(黒田総裁)と言うから、もはや物価上昇は避けられそうにない。

   今春闘で連合が定期昇給(約2%)を確保した上で、1%以上のベア、さらにはこれまでに低下した賃金や格差是正のため1%相当の賃上げ(単純計算で合計4%)を求めたのは、消費増税後の物価上昇を考えると、極めて合理的な計算だが、それに届かなければ、生活を切り詰めざるをえなくなる道理だ。

   ただし、経済は一度の春闘だけで判断するのは早計とも言える。春闘や賃金に詳しい日本総研の山田久チーフエコノミストは「今春闘で賃上げ率が2%台半ばから後半に落ち着くことができれば望ましい」と指摘する。「消費税率も考えればベアが3%必要だという考えもあるが、持続的な賃上げの流れを作り、中期的に所定内給与が上がるとの期待が家計に醸成されれば、消費増税があっても消費が冷え込むことは避けられるだろう」というのだ。

   安倍晋三首相が語る経済の「好循環」につなげられるか。今春闘を評価するには、少し時間が必要なようだ。

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