クリミア自治共和国の女性検事総長ナタリア・ポクロンスカヤ氏(33)が「萌え」「美人すぎ」と日本国内で盛り上がっていることが、ロシア語圏、さらに欧米各国にも伝わり、かなりの驚きとともに報じられている。
「ナタリア・ポクロンスカヤは、日本ネット界のスターとなった」
露国営通信「日本のスターになった」
ロシアの国営通信社「イタル・タス通信」は2014年3月19日(現地時間)、こんな見出しで、日本におけるポクロンスカヤ検事総長の人気を報じた。
日本では検事総長就任会見の模様がYouTubeに公開されたことをきっかけに、少女らしさを残したポクロンスカヤ検事総長のルックスに惚れ込む人が続出。3月14日ごろからイラスト投稿サイトなどに彼女をモチーフにしたアニメ・漫画調のファンアートが投稿される「祭り」が起こった。
イタル・タス通信では日本国内でのこうした動きを伝え、「彼女の大きな瞳、うりざね顔、そして髪型は日本のアニメの美の基準を満たしている」と、その人気の理由を分析している。やはり国営メディアの「ロシアの声(VOR)」ウェブ版も、日本人ユーザーによる幼めの美少女風に描かれたポクロンスカヤ検事総長のイラストを掲載、2ちゃんねるの書き込みも引用しながら、日本人の熱狂ぶりを驚きとともに伝えた。
ロシアでの報道を受け、英BBCも20日、この話題を紹介した。「クリミア半島での事態を注視している日本の人々は、どうやらこの新検事総長に魅了されたようだ」との書き出しで始まるこの記事でも、日本国内でポクロンスカヤ検事総長の会見動画が30万回にわたり再生されたことに触れた(22日現在、再生回数は50万回に達している)。そして、動画には日本語の字幕などなかったのにもかかわらず、人気が出たことに驚きを示している。
「クリミア半島の生活は、『カワイイ』とは程遠い」
もっとも、ポクロンスカヤ検事総長に注目しているのは日本人だけではない。ロシアでも「検事総長ファン」が続出、イラストが次々と投稿されている。こちらは「かわいい」ばかりでなく、「法」と大書された剣を持っていたりと、力強いイメージのものも目立つ。
フェイスブックでも18日、英語圏のユーザーが作ったと見られるファンページが立ち上げられ、3万件近い「いいね!」が22日までに寄せられている。ここに張られている画像には、日本のマンガ・アニメ風のものもあればアメコミタッチのもの、また「ポクロンスカヤ検事総長のイラストが描かれた抱き枕を手にしたプーチン大統領」というコラージュ写真まで、バリエーション豊かだ。
もちろん、こうした動きに冷めた視線を送る人もいる。米ブルームバーグ・ビューに掲載されたモスクワ在住の筆者によるコラムでは、「クリミア半島の生活は、『カワイイ』『コスプレ』とは程遠いものだ」と皮肉り、「彼女もそのうち、自らの信じるロシアの正義が、『漫画(カートゥーン)』に過ぎないと気付くだろう」と文を締めくくった。