【震災3年 復興へ前を向く(3)】
復興グルメ2連覇の「りゅうぐう蛸焼」 南相馬は大丈夫だとアピールしたかった

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大丈夫なものは大丈夫だと明確に発信していく

   ただ「福島初参加」だったこともあり、「もしかしたら同情票が集まっただけではないか」と半信半疑だったと高橋さん。次回好成績を収めてこそ、本当に自分たちの料理が信頼され、食べてもらえる証明になると考えた。

   第4回は宮城県南三陸町で開かれた。いわば「アウェー」だ。ところが今度は優勝に輝いた。開催地以外の参加者が優勝したのは初めてで、「決して甘い評価ではない、本当に受け入れてもらえたんだ」と確信した。第5回は2014年1月、開催地は地元の南相馬で過去最多の8000人が来場したという。既に「りゅうぐう蛸焼」は店のメニューに加わっており「新鮮味」は薄れていたが、終わってみれば連覇達成。チームの誰もが自信を取り戻し、胸を張れる結果だった。

   記者が店を訪れた平日の午後、短時間の間に買い物帰りの女性や親子連れが3組ほど来店し、たこ焼きを買い求めていた。店内には食材の安全性をアピールするため、放射能「不検出」の検査結果の紙が張られていた。若くも「ベテランの腕」と高橋さんが評価する女性従業員3人にも、笑顔が浮かぶ。

   ただ、すべての問題が解決したわけではない。現時点ではツブ貝などの試験操業がストップして地元産が使えないため、北海道や外国産に頼らざるを得ないのだ。原発事故の対応状況も予断を許さない。難しい環境下で高橋さんは、「自信を持って、安全な料理をつくって出すのが重要。ありがたいことに、我々を応援してくれる人がいます。自分たちが相手を不安がらせては元も子もありません。食材の安全管理を徹底し、大丈夫なものは大丈夫だと明確に発信し、信頼を築いていくことこそ、今は大切ではないでしょうか」と話した。

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