消費税率が8%に引き上げられる2014年4月1日まで、あと半月となるなか、さまざまな商品・サービスの値上げ告知ラッシュが続いている。
消費者庁は「便乗値上げ」に目を光らせているが、「今のところ該当するものはない」という。ただ、中には税率以上の値上げで、「便乗ではないか」と思わせるものもある。
「1000円」のカット料金が1080円に
消費増税を前に、企業はあらゆる商品やサービスの価格の改定に動いている。円安による電力や輸入コストの高騰や、原材料費や人件費の上昇もあって、企業の合理化効果も限界に達しつつある。
企業にすれば、消費増税分に加えて、こうした諸経費の上昇分もこの際、価格に転嫁したいところ。そうなると、消費者から見れば「便乗値上げ」と感じてしまうようだ。
たとえば、理髪店の「QBハウス」を展開するキュービーネットは、1996年の創業以来続けてきた「1000円」のカット料金を、4月から1080円に値上げする。これまで内税として消費税分の50円をサービスしていたが、消費税分を外税として請求する料金設定に切り替える。
つり銭のいらない、「1000円」という「キリのよさ」が利用者にとっても便利だったが、値上げには「50円分は便乗値上げ?」との声も。
キュービーネットはホームページで、「徹底した効率化やコスト削減に取り組んできたが、4月1日の消費税増税、その後のさらなる増税も見込まれ、税込1000円を維持することは難しくなりました」と説明している。
牛丼の吉野家も現行で並盛280円(税込)を、4月1日から300円(税込)に、20円値上げする。消費増税と併せて、原材料の高騰分などを反映させた。
また、清涼飲料の最大手、日本コカ・コーラグループは、コカ・コーラやコーヒー飲料の「ジョージア」など自動販売機の商品価格を、現行の120円から130円に引き上げる。
ただ、自販機で販売するペットボトル入りのお茶「綾鷹」などは内容量を500ミリリットルから525ミリリットルに増量したうえで、150円から160円に値上げする。一方、555ミリリットルのペットボトル入りミネラル水「い・ろ・は・す」の価格を据え置くなどして、全体の値上げ幅を3%以内に抑えて、便乗値上げにならないようにバランスをとった。
コンビニエンスストアなどでの販売については「基本的に消費増税分の3%を上乗せして販売することになりますが、詳細な価格は各ボトラー社の判断になります」(日本コカ・コーラ)と話している。
10円の値上げに、「増税分は6円なのに、4円分は便乗値上げではないか」との声もあるが、同社に限らず、そもそも自動販売機はワンコイン(100円)で1本と、売る側も買う側も「つり銭がない」ことが利点だった。それが消費税の導入(3%)で、110円になり、5%のときには120円と値上げすることになる。
もちろん、増税のたびにオペレーションやシステムの組み替えなどが必要になるので、そのコストを企業が負担することを考えれば、「やむを得ない」のかもしれないが。