安倍晋三首相が2014年3月21日放送の「笑っていいとも!」に生出演し、司会のタモリさんと軽快なトークを繰り広げた。32年間続いた番組の歴史のなかで、現役首相が登場したのは初めてだ。
タモリさんは「明日の新聞の『首相動静』に載りたい」と大ハッスル。実は1年ほど前、「いいとも」に出演した「大物司会者」が、ある首相と会食したのに翌日の新聞に載らなかったとタモリさんに愚痴をこぼしていたのだ。
「タモリと会食」と載せてほしい
首相との会話の中で、タモリさんは前日3月20日の首相動静(21日付新聞各紙)について触れた。「午前中に十数人、午後は国会もありながらだいたい15人会っているんですね」と驚くと、首相は「書かれているのは、役所では局長以上で、若手を含めるともっといますよ」と返す。麻生太郎副総理兼財務相と午前、午後それぞれ数分しか会っていなかったことから、「麻生さん嫌いなんですか」(タモリさん)「いえいえ、お互い家が近いので、長い話もしますよ。嫌いだからバイバイ、ではありません」(安倍首相)と笑いながらやり取りする場面もあった。
トークも終盤になって、タモリさんが「明日の首相動静に『笑っていいとも、タモリと会食』と載せてほしいから」と、おもむろにイチゴを運ばせ「一緒に食べましょう」と促した。安倍首相も応じ、ふたりでイチゴをほおばっていた。
主要紙朝刊は、前日の首相の行動や面会した人を中心に動静を報じる。例えば同行者の名前など、基本的に同じ情報が載っているものの、どこまで詳細に報じるかは新聞によって微妙に異なる。今回の「いいとも出演」を載せるか載せないかは、新聞社によって判断が異なることもありうる。
実は別の司会者にも、過去に似たようなチャンスが訪れていた。みのもんたさんだ。本人が愚痴交じりにその舞台裏を打ち明けた番組が、2013年5月6日放送の「笑っていいとも!」だったのだから、何かの因縁だろうか。
首相と会食したのに、載っていた名前は「蓮舫議員」だけ
「いいとも」に出演したみのさんは、「総理大臣と言われる方」から会って話したいとの連絡を受けたため、行きつけの店で実際に会食したことを明かした。ところが翌日の各紙の「首相動静」欄を見たところ、自分の名前は一切載っていなかったそうだ。代わりに、当時の首相は民主党の蓮舫議員と飲んだ、とのみ記されていたという。みのさんはご立腹だったようで、紙面の首相動静欄は「絶対に信じられないなと思いました」とこぼしていた。
「総理大臣と言われる方」が誰だったのか、みのさんは名前を明らかにしなかった。ただ、当時の報道などから該当するのは野田佳彦首相(当時)だったのでは、と推測されていた。
みのさんのケースは「なかったこと」として扱われた格好だが、今回の「いいとも!」は全国中継されており、多くの視聴者が「目撃者」だ。ワケありの密会でもない。「タモリ、首相と会食」が3月22日付の各紙朝刊に掲載されるかどうか、見ものだ。ツイッターでも、「明日(首相動静にタモリさんとの会食が)載るのか?」などと関心を集めている。