若いうちにひきこもって年齢を重ね、40代になった人も?
調査では、10年以上のひきこもりが34%に達する点にも触れている。島根県健康福祉総務課の担当者は取材に対し、「年代別にみると、最も多いのはまたも40代です。質問項目が『10年以上』となっているため、実際は20年、それ以上に渡ってひきこもっているケースがあるかもしれません」と話す。若い年齢のときからひきこもり、長期化するうちに年を重ねて40代となっている人が増えている可能性もあるだろう。
山形や島根のように、県民対象の大がかりなひきこもり調査はまだ珍しい。だが自治体によっては、徐々にひきこもりの高齢化を指摘するところも出てきた。例えば宮城県精神保健福祉センターは、ひきこもり支援の実態調査を2013年5月に実施している。その報告書の中で、福祉事務所などが市民から受けるひきこもり相談について「当事者の年齢は10代・20代が多いが、40代以上の相談もみられるようになった」との記述があった。
この問題は、既に2年前の2012年7月11日、NHK「おはよう日本」で特集されている。番組では、秋田県藤里町の当時50歳の男性を取り上げていた。自衛隊員や大工として働いていたが、次第に人間関係に悩んでひきこもるようになったという。支えてくれた両親が体調を崩し、面倒を見てもらえなくなった。ところが男性は、自分で食材の買い物に出たことすらない。収入を得るどころか、食べていくこと自体困難な状態だったようだ。
番組では、町の社会福祉協議会がこの男性を支援する様子を紹介していた。だがこうした中高年のひきこもりは、年月とともにますます増加し、深刻化していくと予想される。解決は簡単ではない。