【震災3年 復興へ前を向く(2)】
間一髪津波を逃れた、あの旅館女将は「語り部」になった 「地震、津波は全国どこでも起こり得る」

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被災地に来て何かを感じ取ってほしい

   決して興味本位ではなくても、被災地訪問が不謹慎ではないかと躊躇する人がいた。訪問者が釜石に来てからも「来てよかったのだろうか」と悩んでいると耳にした。岩崎さんは「『あの日』は私たちが背負っていく。若い人たちはここで何かを感じ取って、未来を築く糧にしてほしい」と声をかけた。話だけでなく、震災の記録を冊子にまとめて配布し、DVDまで製作した。

   一方では、豊かな自然に囲まれた故郷を多くの人に訪れてもらい、素晴らしさをアピールしたい思いもある。「津波が尊い大勢の命を奪い、いまも行方不明者がいる。それは分かっています」と話してから少しの沈黙。やがて、こう口にした。

「でもこの土地は、悲しみばかりじゃない。地域の皆さんと一緒に、私たちなりにふるさとを再建していくうえで、今はその途中です。人は前を向いていないと生きていけないでしょ」
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