大手菓子メーカーの江崎グリコは、マレーシアで「Rocky(ロッキー)」の名称で販売してきたチョコレート菓子の「Pocky(ポッキー)」を、国内と同じ「Pocky」として販売していくことにした。
同社がマレーシアに進出したのは1970年代。現地ではこれまで約40年ものあいだ「Rocky」として親しまれていた。商品名の変更は東南アジアでの販売強化のため、統一的なPR戦略の展開を図る狙いがあるという。
「Rocky」のパッケージ、日本で発売当時のデザインとそっくり
人気のチョコレート菓子「Pocky」はこれまで、マレーシアでは「Rocky」の商品名で販売されてきた。
これは「Pocky」が、マレーシアの国教であるイスラム教でタブーとされる「pork」(豚肉)や「porky」(豚の、豚のような)を連想させるためで、江崎グリコは「進出当時、現地の販売代理店から『ブランド名を変えてはどうか』と提案があり、いろいろと考えたところ『Rocky』にしました」と話している。
また、「Rocky」のパッケージデザインは、「Pocky」が日本で発売された1966年当時に近い、懐かしさを感じるもので、「(マレーシアでの)発売当初から変わっていない」そうだ。
江崎グリコによると、マレーシアを含め、シンガポールやインドネシア、ベトナムなどの東南アジアで販売している「Pocky」は、タイにある現地法人の「タイグリコ」で生産、輸出している。「同じイスラム圏のインドネシアでは以前から『Pocky』で販売してきましたが、現地では受け入れられています」と説明。それもあって、マレーシアでの商品名の変更に踏み切った。
すでに「Rocky」の出荷は2013年12月で終了しており、ほぼ入れ替えが終わった段階としている。
ところで「Rocky」といえば、日本では1976年以降に大ヒットした映画「ROCKY」シリーズを思い起こす人が少なくないようで、「映画に関係あるのかとよく聞かれますが、まったく関係ありません」(江崎グリコ)という。
インターネットでは、
「正直、『Rocky』はまがいものと思ってた」
「なんかのジョークかと思ったら、そういう名前で売ってる国があったのか」
「今までのはニセモノっぽいネーミングだったんだねw」
といった声が聞かれた。
欧州では「MIKADO」、こちらは変更なし
江崎グリコの「Pocky(ポッキー)」はいまや世界各国で販売されているが、今回のマレーシアでの商品名の変更で、「Pocky」以外の商品名で販売されているのは欧州だけになった。
欧州での商品名は「MIKADO(ミカド)」。同社は、「『ミカド』という欧州で人気のゲームで使うスティック(木の棒)が、ポッキーの棒のイメージにぴったりなことから、その名をとりました」と説明する。
江崎グリコはフランスの合弁会社「ジェネラルビスケット グリコ フランス」を拠点に、欧州で展開している。「ジェネラルビスケットと50%ずつの出資で運営していることもあり、『MIKADO』の商品名は当面のところ変更しません」と話している。