東京都の舛添要一知事が2014年3月19日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、選挙期間中にネット上で流布された「在日説」や「外国人参政権付与推進派説」に反論した。また、外国人の単純労働者受け入れについては「シニア層や女性を活用すべきだ」と否定的だ。
その半面、「外交や安全保障は政府の専権事項だが、都市にしかできない外交のようなこともある」と話し、都市外交を通じて中韓との関係改善を目指すとした。可能な限り早い段階で姉妹都市の北京やソウルを訪問したい考えだ。
「なぜシニア層や働かない女性を最大限に活用しないのか」
舛添氏が生まれた福岡県は古くから朝鮮半島との交流が盛んなためか、都知事選の期間中には、根拠が不明な「在日説」がネット上で拡散された。これに対して、舛添氏は
「都知事選では、他陣営から私に対する汚らわしいほどの(disgusting)ネガディブキャンペーンが行われた。私が韓国人だというものだ。私は日本人だ。(ふるさとの)福岡は(朝鮮半島に)近く、多くの人が国境を越えた2000年前は分からないが…」
と反論した。また、根拠は不明ながらもネット上で「推進派」と指摘されている外国人参政権の付与については、
「『投票権を行使したければ(日本)国籍を取得してください』。これが私の答え。実際、在日朝鮮・韓国人で日本のパスポートを持つ(=国籍を取得する)人が増えている。主な理由が日本人との結婚だ」
と明確に否定。外国人の単純労働者の受け入れについても、
「ドイツではトルコの人がアイデンティティークライシスに苦しんだ」
「1950年代、欧州では工場を機械化する代わりに外国人労働者を受け入れて経済成長をもたらしたが、多くの問題が起こった」
として否定的で、労働力不足は女性や高齢者の就労率向上で解決すべきだと主張した。
「この問題にはむしろ慎重だ。特に、日本には働かない女性が沢山いる。なぜシニア層や働かない女性を最大限に活用しないのか。最初に彼らに働くようにお願いして、働くための環境を整えるべきだ。しかし、熟練労働者や特殊な能力を持つ人、日本人ができない特定分野の能力を持つ人については(受け入れは)問題ないと思う」
「北京抜きでは、アジアの大都市のネットワークは完成しない」
周辺諸国との関係については、
「残念ながら歴史的解釈や尖閣諸島の問題で、外交はほとんどブロックされている。外相でも首相でもないが、少なくとも東京都知事として何かできるはず」
として改善への意欲を見せた。中でも課題としているのが、アジアの主要都市が危機管理や環境問題、産業振興といったといった共通の課題に取り組む組織「アジア大都市ネットワーク21」(ANMC21)だ。ANMC21には、ソウル、台北、マニラ、ハノイ、ジャカルタ、デリー、バンコク、ヤンゴン、クアラルンプール、シンガポールといったアジアの国・地域の首都や主要都市が加盟しているが、北京は台北との関係を理由に脱退したという経緯がある。舛添氏は北京を復帰させたい考えを強調した。
「北京抜きでは、アジアの大都市のネットワークは完成しない。おそらく、石原慎太郎元知事のリーダーシップではいくつかの問題が起こった。自分の代では、大きな任務のひとつが北京をこのネットワークに復帰させること。できるだけ早く北京に行きたい」
訪中時には、2020年の東京五輪に向けて、08年の北京五輪開催で得られたノウハウや教訓を吸収したい考えだ。