「研究不正の問題はたくさんある」
「11jigen」氏の一連の説明によると、博士論文では複数の情報ソースから画像を抜き出してきて使っていることになる。ほかにも不適切なデータ使用の可能性をにおわし、「調査中」の項目には、解説が一切ついていない不自然な画像の存在も示した。同氏は読売新聞の取材に「放置したままでは真面目な研究者が被害を受ける。ボランティアでやっている」とメールで回答したという。
「世界変動展望」というブログの運営者も、2月13日から論文の不適切さを主張してきたひとりだ。ツイッターでは、「近年はネットで研究不正を摘発し改善する動きが強くなってきました」とつぶやき、その原動力として「11jigen」氏の告発や「2ちゃんねる」で論文のねつ造や不正問題を取り扱うスレッドを挙げている。
それにしてもこうした「告発人」は、正体は明かしていないが、英文で書かれた科学論文を読みこなし、使用された画像や実験データをどの文献やウェブサイトから複製してきたのか、さらにどのように改ざんされたのかを見極めるのだから、相当な専門知識を持っている人物ではないかと推測される。もともと今回の件に限らず、論文の不適切性が疑われる研究者を挙げ、問題を指摘してきた人たちだ。「研究不正の問題は小保方問題以外に解決しなければならない事件がたくさんあります」(「世界変動展望」運営者)という。