英科学誌「ネイチャー」に掲載されたSTAP細胞の論文に、不自然な画像が掲載されているとの指摘は「インターネット発」だったようだ。疑惑が膨らんだのを機に、理化学研究所が調査を余儀なくされたという。
論文の筆頭著者、小保方晴子・研究ユニットリーダーが書いた博士論文に「コピペ疑惑」があると暴露したのもブロガーだ。
米教授の投稿きっかけに「画像の切り張り」明るみに
STAP細胞の論文がネイチャーに掲載されて以降、どのようにして問題点が浮き彫りになっていったかは、2014年3月16日付の読売新聞が詳しい経緯を示している。
初めは、科学者たちがネット上で科学論文について議論し合う「PubPeer」というサイトに、米カリフォルニア大学デービス校のポール・ノフラー教授が投稿したのがきっかけだ。論文が発表された1月29日付の書き込みで、「別の研究者が(STAP細胞を)再現できるのか」など6項目の疑問をぶつけている。その後コメントが相次いだが、2月4日にはある投稿者から、「画像の切り張り」にかかわる疑いが書かれた。1枚の画像なのに、一部個所の背景の「暗さ」が他所と異なっており、おかしいというわけだ。さらに画像そのものも公開され、不自然さが一目瞭然となった。この画像は、3月14日に行われた理研の調査の中間報告会見で、小保方氏が実際に切り張りや加工を行っていたと認められた個所だ。
また読売によると、論文に掲載されたマウスの胎盤の画像2枚が酷似している点も、ツイッター上での問題提起から疑いが広がったという。
論文内容の厳しい「監視」の動きは、国内でも見られた。なかでも細かくチェックしているのは、「11jigen」と名乗るブロガーだ。詳細な横顔は不明で、ひとりか複数なのかも分からない。これまでも、2013年2月に退職した京都府立医科大学の元教授が書いた論文のうち14本に画像や実験データのねつ造、改ざんがあったと大学側が明らかにしたケースなど、2009年の段階から疑惑を追及し続けてきた人物だ。
STAP細胞論文では、理研が調査している画像の使用について以前からブログで指摘していた。さらに小保方氏の博士論文で、一部テキストや画像に他の研究者の論文から盗用したと疑われる「酷似した内容」を見つけ出し、公表した。