オバマ米大統領の来日が大きな節目
こうした米国の強引さに対する不満は強く、関税を無視してルール分野の先行決着などあり得ないという各国の意向が強く働き、「実質合意」は再び見送られることになった。
本気で合意をまとめようという試みが2度も続けて失敗したダメージは少なくない。「各国の間にダラダラ感も見える。交渉機運がしぼむのは避けられない」(通商関係者)との見方も強まっている。
とはいえ、安倍晋三首相の靖国神社参拝もあってきしみが指摘される日米関係の立て直しのためにも、米国をなじってTPPを空中分解させる選択肢は、日本にはない。次の大きな節目である4月22、23日に予定されるオバマ米大統領の来日に向け、関税でいかなるカードを切り、また知的財産権などで途上国と米国の間をどうつなぎ、交渉成功に力を発揮するか、安倍内閣の外交力が試される。