「知的財産権」などルール分野でも、多数の論点が残されたまま
しかし、今回の準備状況がお粗末だったことは、交渉関係者たちの目に明らか。特に、コメや牛・豚肉など農産品の「重要5項目」の例外化を主張する日本と、「関税全廃」を掲げる米国とは一切歩み寄りがなく、何の見通しもないまま閣僚会合に突入。甘利氏と米通商代表部(USTR)のフロマン代表とは事実上のけんか分かれ状態だったという。
関税分野だけでなく、ベトナムやマレーシアなどの新興国と米国の間で激しい論争が続いている「知的財産権」などルール分野でも、多数の論点が残されたままだ。「とても、閣僚さえ集まれば政治決着できるというレベルではない」との声は各国の交渉関係者の間に共通していた。
そんな状況で米国があえてセットした閣僚会合。米国の目論見について、ある通商関係者は「そもそも米国の通商交渉のやり方は、相手を力でねじふせようとするもの。米国が強く出れば、日本を含め他の国は必ず譲歩すると思っていたのだろう」と指摘する。また、米国は、かたくなな日本の対応で難航している関税分野をひとまず置いておき、知的財産権などのルール分野だけ先に決着させて「妥結」を宣言してしまおうと狙っていたふしもある。