日本や米国など12か国がシンガポールで2014年2月下旬に開いた環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の閣僚会合は、結局、目標としていた「実質合意」に至らず、交渉継続となった。
13年12月に続く2回目の「妥結」先送りで、「各国の意欲低下は避けられない」(通商関係者)との懸念は強く、交渉長期化の可能性が指摘されている。
「妥結を目指すにしては見切り発車的だ」
「交渉官が(事前に合意に向けた細部を)詰め切る作業ができなければ、閣僚会合を開かないというぐらいの決意を(各国で)共有すべきだ」。甘利明TPP担当相はシンガポールで閣僚会合が開かれている最中、険しい表情で報道陣に語った。「妥結」に向けた段取りが出来ていない状況で、閣僚が集められたことへの不満が表れていた。
不満の矛先は、閣僚会合開催を主導した米国に向けられている。そもそもTPP交渉は米国主導で始まったもので、今回の会合も米国がリーダーシップを取り、開催地や日程を決めたとされる。しかし「妥結を目指すにしては見切り発車的だ」(通商関係者)との指摘が当初から多かった。
インドネシア・バリ島で「年内妥結」を宣言したTPP首脳声明(13年10月)を受け、年末にはシンガポールで「妥結」を目標とした閣僚会合が開かれた。あえなく断念となったものの、この際には事前の交渉官折衝などで相当な準備がされていたという。