相続税の納税を立て替え、「これまでにないサービスで関心高い」
一方、相続税の節税対策といえば、ますは不動産投資。いわゆる投資マンションを購入して、「要は借金をつくって、相続財産を減らす方法です」(税理士)と話す。マンション販売などの不動産業者にとっても、相続税の増税は大きな商機といえる。
ただ、マンションの場合、賃料収入が少なくて毎年の運用がマイナスになってしまったり、不動産価格が高騰しはじめてから購入することで高値づかみになってしまったりして、節税効果が薄れてしまうなどのリスクがある。
相続税の納税を立て替え融資して支援する、新たなサービスに取り組んでいる。対象は、相続税の課税対象者でもある、不動産を所有する「売り主」。相続税を手元資金でまかなえない場合に立て替え融資し、不動産の売却代金で返済する仕組みだ。
住友不動産販売は三井住友銀行と提携して2013年8月から、また大和ハウス工業のグループの日本住宅流通は大和ハウスフィナンシャルと連携して同11月から、サービスを開始している。
首都圏や近畿圏などで、税理士と連携してサービスを提供。「具体的な件数は申し上げることができませんが、相談や問い合わせは増えています」(住友不動産販売)、「すでに相続税が発生している人などからも相談があります。これまでにないサービスでもあり、高い関心があるようです」(日本住宅流通)と話している。
国税庁の「統計年鑑 2011年」によると、課税対象者(相続人)数は、不動産価格の高い東京や大阪、名古屋の三大都市圏で約3分の2を占めている。不動産の所有者は、相続税を納めないまでも、相続税についての申告が必要になる可能性が高い。「不動産は相続分配や登記など、手間がかかり面倒なことが多い」(前出の税理士事務所)ので、こうしたサービスの利用は増えそうだ。