中国の大気汚染が激しさを増し、不安が高まる中で、日本企業の中には中国に駐在する社員の健康に配慮する「PM2.5手当」の支給を検討する企業が増えてきた。
パナソニックは2014年3月12日の2014年春季労使交渉(春闘)で、中国に在住する職員に対し「環境差手当」を増額するという文言を盛り込んだ。
労使交渉に「PM2.5」問題の提案が挙がった
増額する理由の一つとして「PM2.5」問題の深刻化があげられた。
パナソニック広報によれば、労使の間の労働条件見直しの交渉の際に、中国の環境を考慮したほうがいいという提案があったためだという。同社の手当は、日本と海外それぞれの労働環境を考慮し、個別に必要に応じて増額してきた。
「これまでも各国で生活環境や職場環境が急変した場合などに手当の見直しを行ってきましたし、今回もそうした流れの中の措置として検討しているということです」
一方、東芝は2013年4月から北京、上海の2地域に赴任している社員に対し「PM2.5手当」の支給を開始している。
北京、上海に関しては「PM2.5」の数値が異常に高まったことを確認
東芝は全世界に赴任する社員に対し、政情や衛生状態が著しく悪化した場合などに個別にそれに見合った手当の支給を行ってきた。北京、上海に関しては「PM2.5」の数値が異常に高まったことを確認し、支給することを決定したのだという。
「世界の赴任地の状況をいつも見守っていますので、中国だからという理由だけで決めたものではありません。中国での支給地域が広がっていくかどうかは今のところ分かりません」
と東芝広報は話している。
建設・産業機器大手のコマツは、「PM2.5」が問題化してすぐに現地駐在員と、現地採用のナショナルスタッフ全員に「PM2.5」を防ぐためのマスクを配布した。コマツ広報は、
「現在は手当の支給は行っておりませんが、状況を見て常にアンテナを張り、必要に応じて検討していくことになるとおもいます」
と話している。