チェルノブイリで見られた「0~5歳の甲状腺がんは見つかっていない」
報道ステーションでは、甲状腺の第一人者で検査の責任者でもある、福島県立医科大学の鈴木眞一教授にも、きちんと話を聞いている。それによると「同じやり方で検査しなければ、異なる診断が出てしまい混乱を招く」ということのようだ。
とはいえ、県立医大にとって番組は、どうも「消化不良」であるらしい。番組中では言いたいことがうまく伝えられなかったと考えているようだ。
2014年3月12日にホームページに公開した「見解」によると、甲状腺検査の実施や判定の権限を県立医大に「集中させている」との番組の指摘について、県立医大は「県立医大が主体であるものの、実施の権限が県立医大に集中しているわけではない」と否定。検査は、福島県内の医療関係者が実施できるよう準備を進めていて、「14年度は県指定の県内医療機関でも検査ができる体制が順次整っていく見通し」という。
また、 甲状腺がんの発症と原発事故との因果関係については「番組内ではチェルノブイリとの比較において、被ばく線量についてほとんど触れられていなかった」と指摘。そのうえで、「チェルノブイリと比べて、福島における県民の被ばく線量が低いことがわかってきている」としている。
加えて、福島県で見つかっている甲状腺がんの患者の平均年齢が16.9歳(2013年12月末日現在)で、従来より知られている小児甲状腺がんの年齢分布に非常に似通っていること。チェルノブイリでは放射線の感受性が高い0~5歳(被ばく時年齢)の層に多くの甲状腺がんが見つかったのに対して、県内では現在のところ、その年齢層で甲状腺がんが見つかっていないことや、甲状腺がんの発見率に地域差がみられないことから、「現在見つかっている、甲状腺がんと診断された人については福島第一原発事故の影響によるものとは考えにくい」と説明した。