インターネット掲示板「2ちゃんねる」の管理者変更から始まった騒動が、ネット上の口コミを分析するサービスを提供する上場企業「ホットリンク」(東京・千代田区)にまで影響を及ぼしている。
2ちゃんねるデータの取得ができなくなるトラブルが発生し、復旧の見込みが立っていないという。
「先方事情により停止している」
ホットリンクは2013年12月に東証マザーズに上場、ソーシャルメディア上に投稿された商品・サービスの評判分析や、企業情報の漏えいを発見するサービスを手掛けている。Twitterに投稿された全データのアクセス権を保持しているほか、新規公開目論見書によると、2012年10月に「2ちゃんねる」のデータに関して、「東京プラス」、「未来検索ブラジル」の2社と独占商用利用許諾契約を締結した。
「東京プラス」は元2ちゃんねる管理人・西村博之氏が代表の会社で、「未来検索ブラジル」は同氏が役員を務め、「2ちゃんねる検索」や2ちゃんねる公式ビューア「P2」などのサービスを提供している。
ホットリンクが2013年3月25日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系)のネット選挙ビジネスの特集に取り上げられた際、内山幸樹社長は「『2ちゃんねる』は5分おきに全書き込みが僕らのサーバに送られてきます」 と話していた。
ところがホットリンクは2014年3月10日、「2ちゃんねるデータ取得トラブル発生のお知らせ」という開示資料を出した。トラブルが3月6日午前0時から発生して、データを取得できない状態が続いているという。独占利用許諾契約を締結している会社が、各種2ちゃんねる関連サービスへのデータの供給を「先方事情により停止している」のが原因と説明した。
3月6日午前0時以前のデータを利用する分には問題なく、今回の障害が業績に与える影響は「現時点においては軽微」だが、長期化して業績に重大な影響が見込まれる場合は速やかに通知するとしている。
2ちゃんねる管理者変更の影響か
データ取得ができなくなったのは、2ちゃんねる管理者の変更が影響したものと見られている。新管理人に就任したとされるジム・ワトキンス氏が2月19日、
「各関係者様 2chサーバーを確保しました。前の経営者は、2chの運営経費のための資金を十分な収入を獲得ことができなかったので、首にしました」
などと日本語の声明をネット上に出した。2ちゃんねるについては不明な点が多いため、正確な経緯は明らかではないが、サーバ管理会社が替わり、運営ルールや管理体制も刷新されつつあるようだ。
こうした状況の下で、2ちゃんねる公式の関連サービスを手掛けていた「未来検索ブラジル」は、2ちゃんねるのサーバから遮断され、3月6日からサービスを提供できない状態に追い込まれたらしい。2ちゃんねるデータの取得について同社と契約を結んでいたホットリンクは、そのあおりを受けたとみられる。
詳細を聞くためホットリンクに取材しようとしたが、「開示した以上の内容は話せない。お客様に心配をかけるので、取材についてはお断りしている」と断られた。