損保大手、「MS&AD」が社長交代 「多頭政治」でうまくいく?

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「お約束」の握手写真に「あまり意味がない」

   MS&ADは2010年4月、三井住友海上、あいおい(旧大東京火災海上と旧千代田火災の合併社)、ニッセイ同和が経営統合して発足した。損保業界はこれ以外でも再編統合が進んでおり、現在は「3メガ」に集約。自動車保険など国内の損保保険料収入の9割が3メガに集中している状況だ。

   ただ、3メガのうちMS&ADが異質なのは、他の2メガが持ち株会社傘下の主要損保子会社が1社(東京海上ホールディングス)に統合済み、または1社に統合しようとしている(NKSJホールディングス=今年9月予定)のに対し、MS&ADは主要2子会社(三井住友海上、あいおいニッセイ同和)を併存させたままでいこうとしている点。

   みずほの場合も統合前の旧富士、旧一勧、旧興銀の旧3行間の力関係に決定的な違いがなかったことがあだになり、延々と主導権を争う派閥抗争が続いてしまっている。力の拮抗した会社が経営統合した場合、よほど工夫しないと組織の融合が困難なことを、今回のMS&ADのトップ人事も示したと言えそうだ。ただ、みずほの場合は持ち株会社傘下の銀行は昨年7月、合併させて一つにした。その点、MS&ADは一つにする気配すらない。

   2月28日に日銀本店でMS&ADの新旧社長と新会長の3人が記者会見したが、やりとりは低調。聞かれたくない質問が続いたせいか、会見した3人も不機嫌で、代表権を持った取締役に残る江頭氏に「会社を代表するのは誰か」と質問が飛んだが、江頭氏は「会長と社長に決まっているじゃない」とタメ口で言い放つ始末。会見の最後にはお約束の握手の写真撮影も行ったが、3人のうちの1人が「あまり意味がない」とつぶやく場面も。組織融合の難度を象徴する会見だった。

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