アニメ「ドラえもん」といえば、お風呂が大好きなキャラクター・しずかちゃんの入浴シーンが付き物だ。のび太がひみつ道具を使ってお風呂をのぞくと「のび太さんのエッチ!」とお湯をかけるなどして追い払うという、子供向けアニメらしいお約束のギャグだが、「児童ポルノ禁止法」の改正にあたって、こうしたシーンが「児童ポルノ」に認定されるか否かが議論されてきた。
そんな中、このほどテレビで放送された映画版のドラえもんで、しずかちゃんの裸のシーンに修正が入った。視聴者が「劇場で観たのと違う!」「しずかちゃんレベルで修正!?」などと書き込み、ネット上に驚きが走った。
修正前はお尻の割れ目も一瞬映っていた
話題になっているのは、2014年3月7日にテレビ朝日系で地上波初オンエアされた「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」(13年3月9日劇場公開)だ。
ドラえもんがいつも首から下げている鈴が、寝ている間に「怪盗DX」を名乗る者に盗まれてしまった。ドラえもんのひみつ道具「手がかりレンズ」で調べたところ、未来の博物館「ひみつ道具博物館(ミュージアム)」にヒントがあることがわかり、ドラえもんとのび太、ジャイアン、スネ夫、そしてしずかちゃんの5人が博物館を訪れた。
博物館のガイドを務め、ひみつ道具を作るのが好きな少年・クルトの家に一行が泊まりに行った際、クルトが作った「ハイパー掃除機」という道具を発見した。何でも吸い込む「ミニブラックホール」が入っているというのがポイントだが、いかんせん強力すぎて、のび太が操作した瞬間しずかちゃんの服を下着ごと破いてしまった。
DVDでこのシーンを確認してみると、前半身はしずかちゃんが手で隠していたため見えなかったが、後ろは隠しきれず、一瞬だがお尻の割れ目まで映っていた。しかしテレビ版では、ハイパー掃除機から白い光線が発せられ、しずかちゃんの体を全体的に覆い隠すような修正がかけられていた。
都は「しずかちゃん入浴シーンは規制対象でない」
テレビでこのシーンが放送された瞬間、ツイッターでは「おいしずかちゃんのサービスカットだいぶ修正されてたぞ」「しずかちゃんの裸に光修正入りましたー!!」「劇場で観たのと違う…!」「しずかちゃんにも謎の光で修正される時代なのか・・・」など、驚きやショックの書き込みが相次いだ。
深夜に放送されるテレビアニメでは、視聴者から「謎の光」と呼ばれる白いラインで、キャラクターの局部を隠す演出がされることがあるが、健全な子供向けアニメのはずのドラえもんでも深夜アニメのような修正がかけられたことで「逆にエロくなってる」との指摘もあった。
13年5月、マンガやアニメの規制を検討するとした「児童ポルノ禁止法」改正案が提出されて以来、「しずかちゃんの入浴シーンまでダメになるのかよ」といった反発の声が根強い。
一方、東京都が10年4月に公表した「東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集」では、「ドラえもんのしずかちゃん入浴シーンは『性交又は性交類似行為』が明確に描写されていないため、規制の対象にはならない」と明記しているのを根拠に、「ドラえもんは大丈夫なはずだ」と見る向きもある。
今回しずかちゃんの裸に修正がかけられたことで「やっぱりしずかちゃんもダメなのか」という声が上がっているが、修正にあたってどんな判断がなされたのか。テレビ朝日に問い合わせたが、「放送したものが全てであり、この番組に限らず、番組の制作過程につきましては、従来からお答えしておりません」との回答だった。