欧州ではスタジアムの閉鎖や罰金処分
「フットボールレフェリージャーナル」を運営するサッカージャーナリストの石井紘人氏は、今回の騒動について「日本人サポーターの人種差別発言に対する意識が希薄なのでは」と指摘する。ファンが浦和の戦いぶりに不満を持っていた、有力な外国人選手を獲得しないフロントを批判したかった、という見方もあり、うっぷん晴らしのために大した考えもなく「日本人以外お断り」と書いた可能性もある。とは言え「やってはいけないのは当然です」。
海外では、こうした差別発言への処分は重い。石井氏によると、欧州サッカー連盟(UEFA)では観客によるこうした発言に対して、初回はスタジアムの一部閉鎖、2度目からは全面閉鎖および罰金処分が科せられる。選手やスタッフが発言した場合は、最低でも10試合の出場停止となるそうだ。当事者が出入り禁止に処されることもある。最近でも例えば2013年、イタリア1部・セリエAで、日本代表の長友佑都選手が所属するインテルのサポーターが試合中、相手のユベントスの選手に人種差別的なコールをしたため、後日行われたゲームでスタジアムのスタンドの一部が使用禁止となった。
浦和のケースも、人種差別発言だとJリーグ側が認めた場合、チームを含めて厳しい処分が下るのは間違いない。浦和は初期対応にも批判が集まっており、試合中ずっと横断幕が掲示されたままだった点について石井氏も「気づいた時点でなぜ、すぐ外さなかったのか」と首をかしげる。2010年にも制裁金を科せられただけに、今回2度目の不祥事となれば球団自体が人種差別への問題意識の低さを非難されても仕方がない。