ビットコイン生みの親のミステリアス人生 64歳日系人、「天才だがイヤなやつ」

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2001年以降定職に就かず、どんな仕事をしているか不明

   ナカモト氏は、防衛産業や電機メーカーの技術者として勤務する傍ら、米軍のプロジェクトも請け負っていた。ただ家族には仕事の話をあまりしなかったそうだ。1990年代には2度のレイオフを経験し、2000年ごろには米連邦航空局でソフトの技術者として働いている。ところが2001年以降は定職についていないようだ。ニューズウィークも「この10年ほど、どんな仕事をしていたのかは不透明」と書いている。この期間をビットコインの開発に充てていたのだろうか。実際にビットコインのプログラムコードは、協力者は存在したものの、基本的にはナカモト氏が単独で組み上げた可能性が高いという。

   記事から垣間見られるのは、ナカモト氏の性格が一筋縄ではいかない点だ。兄弟のひとりは「彼は被害妄想かもしれない。私自身、心が通じ合えていない」と吐露した。ビットコインの開発を1年近く手伝った技術者は、ナカモト氏と会ったことはおろか電話で会話も交わしていない。やり取りはメールが主だが、雑談は皆無だったという。家族には、自分がビットコインを開発したわけではないと打ち消したそうだ。「真相は話さないだろう」と息子は語っている。

   米ロサンゼルスタイムズ紙電子版は3月6日、ナカモト氏本人の映像をウェブサイト上で公開した。白髪交じりで眼鏡をかけ、やせた印象だ。自宅に押し掛けた報道陣に対して、「質問はなしだ」と家の中に入りかけるが、向き直り「私はビットコインとは関係ない」と明言。質問を重ねようとする記者をしり目に去って行った。その後、本人に接触した同紙記者に対して、ビットコインの開発者ではないと否定したという。

   ビットコインを巡っては、東京に開設されていた取引所が2月28日に経営破たんしたのに続いて、カナダの取引所も3月4日、不正アクセスでコインが大量に引き出されたとして閉鎖した。シンガポールの取引所の経営者が不審死したという物騒なニュースも流れた。ただでさえトラブルが続いているときに、姿を隠してきたナカモト氏本人が「見つかった」ことで騒ぎは大きくなった。一説には4億ビットコインを持つ「億万長者」と言われており、まだまだベールに包まれているナカモト氏の「正体」を丸裸にしようと、メディアの攻勢は続きそうだ。

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