ビットコイン生みの親のミステリアス人生 64歳日系人、「天才だがイヤなやつ」

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   仮想通貨「ビットコイン」を発明した「ナカモト・サトシ」と名乗る人物を、米ニューズウィーク誌が直撃した。本人は「もう過去のこと」と取材に取り合わず、後には「ビットコインとは関係ない」と否定したという。

   ニューズウィークは、周辺取材からナカモト氏の横顔をあぶりだしている。肉親の言葉を借りれば、その人物像は「天才だがイヤなやつ」だそうだ。

家族の証言「非常に知性的だが感情の起伏が激しい」

ロサンゼルスタイムズに掲載されたナカモト氏の記事
ロサンゼルスタイムズに掲載されたナカモト氏の記事

   ナカモト氏は2009年、「ビットコイン:P2P 電子マネーシステム」と題した論文をインターネット上に公表し、ビットコインの生みの親とされる。「中本哲史」という漢字表記もあり日本人とみられていたが、実名かどうかを含めて全体像は謎に包まれていた。

   ニューズウィークの記者は、米ロサンゼルス郊外にあるナカモト氏の自宅を訪問し、取材を試みた。その様子は2014年3月6日付の長文の記事に掲載されている。本人の趣味である鉄道模型の話題を中心にメールで交流を重ねたが、ビットコインの話をもちかけた途端に音信が途絶えたため、やむなく本人を直撃したようだ。

   アポなし訪問を不審に思われ、記者は警察に通報される。やって来た警官に事情を説明し、その立ち会いのもとでようやくナカモト氏にビットコインとのかかわりを質問した。だが答えはそっけないものだった。

「私はもう何の関係ないし、話すことはできない。(ビットコインは)ほかの人の手に渡っている」

   これ以上の質問は受け付けず、会話は続かなかったそうだ。ただこの言葉からは、ナカモト氏がかつてビットコインに携わっていたことがうかがえる。

   ニューズウィークは2か月にわたる入念な周辺取材から、ナカモト氏の人物像を特定した。1949年、大分県別府市生まれで現在64歳の日系人。1959年に母が再婚するのに合わせて、家族でカリフォルニアに移住したという。カリフォルニア州立科学技術大学を卒業後、「ドリアン・S・ナカモト」と名乗るようになった。現在、妻とは別居中のようだが、6人の子どもがいる。

   家族の証言によると、「非常に知性的だが感情の起伏が激しく、極端にひとりでいるのを好む」という。電話口では言葉が少なく、メールのやり取りでも匿名にしたがる。ナカモト氏の弟は、技術者としての優秀さを称える一方で「兄はイヤなやつ」とも述べた。具体的なエピソードは言及していないが、ナカモト氏は長らく「機密」を扱う仕事に携わっており、「彼の人生はしばらくの間空白状態」だったそうだ。「兄はビットコインを始めたことも否定するだろう」と続けたが、特殊な職歴がその性格に影響を与えたのかもしれない。

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