成田発中国機、日本海で北朝鮮ロケット弾と「ニアミス」 韓国「民間人の安全に脅威」と非難

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   北朝鮮が日本海に向けて発射したロケット弾の軌道の真下を、民間航空機が通過していたことが明らかになった。

   韓国国防省のキム・ミンソク報道官が2014年3月5日の記者会見で明らかにした。韓国側は「民間人の安全に深刻な脅威だ」と強く批判している。

東海岸中部から北東方向の日本海に向けて発射

放射砲は元山から発射された
放射砲は元山から発射された

   北朝鮮は2014年3月4日午後、新型の300ミリ放射砲(多連装ロケット)「KN09」の砲弾を、東海岸中部の元山(ウォンサン)付近から北東方向の日本海に向けて4発発射。約150キロ先の公海上に落下した。KN09を発射したのは2月21日に続いて2回目だが、3月4日午前には、それより小型の240ミリ放射砲とみられるロケット弾3発を発射し、50キロ先に落下させている。

   韓国国防省によると、3月4日午後のロケット弾は、民間機にも影響する可能性があったという。該当するのが、成田発中国・瀋陽行きの中国南方航空CZ628便(エアバスA321型機)。通常は日本海を北上し、北朝鮮上空を通過して中国に抜けるルートだ。この日は定刻から1時間程度遅れた14時30分頃に成田空港を出発し、17時20分頃(日本時間)瀋陽に到着した。乗員・乗客約220人が乗っていた。

   ロケット弾は16時17分に発射され、2分後の16時19分に着水。CZ628は発射から7分後の16時24分、ロケット弾が飛んだルートの真下を飛んだ。ロケット弾の高度は地上20000メートル、CZ628は10000メートルだった。

2分で150キロ飛ぶので86キロ離れていても「至近距離」

   ロケット弾が発射された16時17分時点では、ロケット弾とCZ682は86キロ程度離れていた。ロケット弾はわずか2分で150キロも飛行しており、86キロは「至近距離」だともいえる。北朝鮮側は事前に発射を予告せず、飛行禁止区域も設定していなかった。

   このことから、韓国国防省のキム報道官は

「北朝鮮の挑発行為は、国際航空秩序に反しており、民間人の安全に深刻な脅威を及ぼす」

と強く非難した。金寛鎮(キム・グァンジン)国防相も、国会の国防委員会で同様の報告をしている。

   中国も事態を注視している。中国外務省の秦剛報道官は3月5日の会見で、ロケット弾の発射について

「関連報道には注目している。中国は隣人として、朝鮮半島情勢の進展には注意を払っている」

と述べた。

朝鮮人民軍「いささかの偏差もなく最も安全に飛行」

   北朝鮮側はロケット弾の発射をあくまでも正当化する構えだ。朝鮮人民軍戦略軍は3月5日には国営朝鮮中央通信を通じて「正常な訓練計画に従ってロケット発射訓練を成功裏に行った」とする談話を発表。その中で、安全保障上の影響を強く否定している。

「発射されたロケットは、発射地点から設定された東北の方向にいささかの偏差もなく最も安全に飛行して定められた目標水域に正確に到達することによって、かつてなかった最上レベルの命中確率を誇示した。特に、ロケット発射の全過程を科学的に計算し、飛行軌道と目標水域に対する事前安全対策まで手抜かりなく立てたことに基づいて行われた朝鮮人民軍戦略軍火力単位の今回の訓練は、地域の平和と安全はもちろん、国際航海秩序と生態環境に少しも影響を与えることなくスムーズに行われた」
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