「日本語話せない」のにオーディション台本をクリア
「マッサン」のエリー役は国内外でオーディションが開かれ、応募総数500人超の中からフォックスさんが役を勝ち取った。演技力とセンス、情熱にあふれ、日本語が話せないにもかかわらずオーディション用の台本をクリアしたところが選考でのポイントになったようだ。
「連ドラ」は、既にいくつもの代表作を持ち地位を確立している女優をヒロインに起用する作品もあれば、「新人の登竜門」としての役割を果たすケースもみられる。2013年放送の「あまちゃん」で大ブレイクした能年玲奈さんは、映画デビューが2010年で、まだ若手の域だ。まれではあるが、新人がいきなりヒロインに抜擢された過去もある。2004年の「天花」で主役を務めた藤澤恵麻さんは、デビューそのものが連ドラ作品だったのだ。フォックスさんの場合、経歴を見る限りではまだ新人と言ってもよいレベルだろう。
外国人で日本語を話さない女優が連ドラの主役となるのは、もちろん初めて。「ダイヤの原石」を磨く意味ではこれ以上ない人選だろうが、日本はおろか米国でも知名度があるとは言えないだけに、未知数な部分も多い。
ニッカウヰスキーの公式サイトを見ると、役柄のモデルである竹鶴リタは英国から日本に嫁ぐと、日本の生活になじむため努力を重ね「日本の女性以上に日本人らしい女性となった」。日本語も習得し、大正から昭和、外国人に対する目が厳しかった戦時中も含めて生涯夫を支え続けた。「自分の夢をかなえるために日本に来た」と意気込むフォックスさんが、竹鶴リタのように日本に「どっぷり」と浸かり、視聴者を引き付けられる女優に成長できるだろうか。