ラーメンのテーマパーク「新横浜ラーメン博物館」が、欧州に進出する。
いまや日本の国民食ともいえる「ラーメン」だが、ここ数年は、寿司や高級和食とはまた違った、日本の大衆食文化の一つとして世界中から注目されている。
「日本のラーメンを広めるには最適な場所」
新横浜ラーメン博物館は、2014年3月6日に開館20周年を迎える。それを機に、開館当初から企業使命として掲げていた「日本の食文化としてのラーメンを世界に広げる」を実現するため、遅くとも2024年までに欧州に進出することにした。
同館によると、2011年から3年かけて欧米で市場調査を実施。具体的な進出国については、原材料調達のための現地での輸入規制や、テーマパークの設立、設備投資にかかる規制などを今後調査して詰めていく。「当館の開館準備に約6年を費やしましたので、2年後をめどに具体的なプランに入り、遅くとも10年後までには、とみています」と話す。
欧州は2012年度の世界観光客ランキングでトップのフランスなど観光立国が少なくない。文化への関心が高く、アニメなどの日本のサブカルチャーも浸透していることから、「日本の食文化としてのラーメンを広めるには最も適した場所」と判断した。
同館は、「飛行機に乗らずとも全国の銘店の味が味わえる」をテーマに開館。「ご当地ラーメン」ブームの火付け役として、ラーメンのおいしさと情報を発信し続けてきた。13年4月には米国ハリウッドで誕生したご当地ラーメン「イケメンハリウッド」を「逆輸入」し、日本で初出店させるなど話題を呼んだ。
これまでの入場者数は約2100万人(14年1月末現在)を数え、2013年には来館した外国人客が年間15万人を超えた。
同館は、「いま、フランスや英国、ドイツ、米国などでラーメンがブームです。これまでは寿司や高級和食などの客単価の高い料理が日本食の代表でしたが、カレーライスや焼きそば、餃子などとともに、気軽に食べられるラーメンが浸透しています。なかでもラーメンは1番人気です」と、胸を張る。
麺の「すすり方」教室や「ダシのとり方」教室も開きたい
日本のラーメンはいまや世界の「RAMEN」になりつつあるようだ。米ニューヨーク近郊では、すでに80軒ともいわれるラーメン店が並ぶ。海外展開する「博多一風堂」や「らーめん山頭火」、「せたが屋」といった有名店は、米国のほかにもシンガポールやタイ、台湾、インドネシアなどにも進出している。
新横浜ラーメン博物館によると、欧州にあるラーメン店はまだ少ないという。ただ、「博多一風堂」など5か店が出店し、2014年1月にフランスで開いた「パリラーメン・ウイークZuzutto」には多くの人が行列をつくるなど、ラーメン人気に手応えを感じた。
欧州のラーメン博物館について、同館は「ラーメンを味わってもらうのはもちろんですが、『文化』を広めたいですね」と話す。
たとえば、欧州ではラーメンを「スープ料理」と認識していて、麺を残してしまい、「替え玉」ならぬ「替えスープ」が必要になるのだという。「麺を『すする』ことも難しいようで、(博物館では)『すすり方』教室やダシのとり方教室なども開設したいです」と、アイデアを膨らませている。