石原慎太郎氏「君が代は歌詞を変えて歌う」と発言 「斉唱が義務」の教員もそんなことが許されるのか?

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   元東京都知事で衆議院議員の石原慎太郎氏(81)が、雑誌インタビューで、「君が代は歌詞を変えて歌う」という内容の発言をした。都知事時代に教員に国歌斉唱を義務付けただけに、発言は波紋を呼んでいる。

   発言が出たのは、「文學界」2014年3月号で、聞き手でアイドル評論家の中森明夫さんから、皇室について考えを尋ねられたときだった。インタビューは、「芥川賞と私のパラドクシカルな関係」というテーマで行われた。

過去には「君が代って歌は嫌いなんだ」と発言

教員にも許すのか(2012年11月撮影)
教員にも許すのか(2012年11月撮影)

   石原慎太郎氏は、「いや、皇室にはあまり興味ないね」と答えると、次のように続けた。

「僕、国歌歌わないもん。国歌を歌うときはね、僕は自分の文句で歌うんです。『わがひのもとは』って歌うの」

   そして、こう歌うと、周りの人たちが驚いて振り返るのだと明かした。

   さらに、皇室については、小学生のときに皇居の前で父親に「頭下げろ」と小突かれ、「姿も見えないのに遠くからみんなお辞儀する。バカじゃないか、と思ったね」とも述べた。こうした考え方について、石原氏は、「僕そんな右じゃない。真ん中よりちょっと左ですよ」と説明している。

   発言が一部で報じられると、ネット上では、疑問の声も相次いだ。「他人には強制しておきながら自分は・・・」「処分食らった人にはたまったもんじゃないな」といったものだ。

   君が代については、毎日新聞の1999年3月13日付インタビュー記事で、石原氏が都知事選候補予定者として、その立場を明かしている。「日の丸、君が代を学校の行事に強制しますか」と聞かれ、こう答えたのだ。

「日の丸は好きだけれど、君が代って歌は嫌いなんだ、個人的には。歌詞だってあれは一種の滅私奉公みたいな内容だ。新しい国歌を作ったらいいじゃないか。好きな方、歌やあいいんだよ」

都教委「教員が歌詞を変えて歌うのはダメ」

   こんな過去の発言から、ネット上では、今回について、「元々こうだから意外ではない」などと受け止める向きもある。

   とはいえ、石原慎太郎氏は、都知事時代には教員に国歌斉唱を義務付けていた。そのことと今回の発言との整合性はどうなのか。

   教員も歌詞を変えて歌うことはできるかについて、東京都教委の指導企画課に聞いたところ、明確に否定した。

「みなで声をそろえて歌っているときに、一人だけ違う歌詞を歌っていればおかしいことですよ。これでは斉唱したことにはなりませんね」

   国の学習指導要領では、教師は君が代を歌えるように授業で指導することになっている。「間違った歌詞を歌っては、子供たちの見本にはなりません。それを教えることにもなりますので、歌詞を変えることはありえないことです」と担当者は言う。

   歌詞を変えて歌えば、職務命令違反と直ちにみなせないものの、指導の対象にはなるとした。石原氏の発言については、「教師ではありませんので、特にコメントはないです」とし、都知事が歌詞を変えて歌った場合の対応については、「想定できませんし、想定には答えられません」と話した。

   教員の君が代斉唱義務化については、石原氏と同じ日本維新の会共同代表で大阪市長の橋下徹氏も、大阪府知事時代から条例制定を通じて進めてきた。そこで、府教委の高等学校課に取材すると、こちらは「歌詞を変えると国歌ではありませんので、職務命令違反になります」と答えた。指導や処分については、明言しなかった。石原氏の発言については、「お答えしにくい」とし、府知事が歌詞を変えて歌った場合については、教師ではなく違反にはならないとしたうえで、「見解を言う立場ではありません」と言っている。

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