都教委「教員が歌詞を変えて歌うのはダメ」
こんな過去の発言から、ネット上では、今回について、「元々こうだから意外ではない」などと受け止める向きもある。
とはいえ、石原慎太郎氏は、都知事時代には教員に国歌斉唱を義務付けていた。そのことと今回の発言との整合性はどうなのか。
教員も歌詞を変えて歌うことはできるかについて、東京都教委の指導企画課に聞いたところ、明確に否定した。
「みなで声をそろえて歌っているときに、一人だけ違う歌詞を歌っていればおかしいことですよ。これでは斉唱したことにはなりませんね」
国の学習指導要領では、教師は君が代を歌えるように授業で指導することになっている。「間違った歌詞を歌っては、子供たちの見本にはなりません。それを教えることにもなりますので、歌詞を変えることはありえないことです」と担当者は言う。
歌詞を変えて歌えば、職務命令違反と直ちにみなせないものの、指導の対象にはなるとした。石原氏の発言については、「教師ではありませんので、特にコメントはないです」とし、都知事が歌詞を変えて歌った場合の対応については、「想定できませんし、想定には答えられません」と話した。
教員の君が代斉唱義務化については、石原氏と同じ日本維新の会共同代表で大阪市長の橋下徹氏も、大阪府知事時代から条例制定を通じて進めてきた。そこで、府教委の高等学校課に取材すると、こちらは「歌詞を変えると国歌ではありませんので、職務命令違反になります」と答えた。指導や処分については、明言しなかった。石原氏の発言については、「お答えしにくい」とし、府知事が歌詞を変えて歌った場合については、教師ではなく違反にはならないとしたうえで、「見解を言う立場ではありません」と言っている。