実験で使った機材は90年代後半~00年代前半に販売
ふたつ目が、この部分の論文に用いた機材だ。いずれの論文でも、ライカ社の「DM RXA RF8」という機種の落射蛍光顕微鏡に、フォトメトリクス社の「Sensys」(センシス)と呼ばれる型のCCDカメラを接続して実験したと記されている。ところが、これらの顕微鏡やカメラは90年代後半~00年代前半に販売されていたもので、今では入手困難。フォトメトリクス社のウェブサイトには故障時の対応方法を記したページが残っているが、前提とされているOS(基本ソフト)はウィンドウズの「98/2000/ME/XP」というありさまだ。この中で一番新しいXPでも01年発売で、14年4月にはサポートを終了する。05年発表の論文執筆のための環境ならば妥当だとみられるが、「最先端の設備がそろっているはずの理研で、10年以上前の古い機器を使っているのはおかしい。本当に実験したのか」といった指摘まで出ている。
もっとも、これらの記述は論文の根幹部分に関係する部分ではなく、業績に深刻な影響はないとみられている。それよりも深刻なのは、いまだに再現実験が成功していないことだ。理研の論文の共著者で、小保方さんの会見に同席していた若山照彦山梨大教授も、理研から山梨大に移籍してからはSTAP細胞を作製できていないという。