牛丼チェーン店の「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)は、消費税率が8%に引き上げられる2014年4月1日から、牛丼並盛りの価格を10円下げて270円で販売する。
消費増税時にあえて値下げして集客力を高める狙いがある。すき家と吉野家HDの「吉野家」、松屋フーズの「松屋」の牛丼並盛りの価格(税込)は現在、280円でそろっている。
「客数増やして収益を確保する」
すき家の牛丼並盛りの本体価格は267円。これを4月1日から、250円に値下げする。1982年の創業以来、セールを除けば最安値になる。
すき家を傘下に持つゼンショーHDは消費税率引き上げをきっかけに消費者の可処分所得が目減りして、低価格志向が強まると判断。「牛丼のおいしさをそのままに、値下げによって客数を伸ばすことで収益を確保したい」と話している。
ただ、今のところ値下げは牛丼並盛りだけで、大盛などの価格や、「ねぎ玉牛丼」や「キムチ牛丼」などのトッピング牛丼や、定食などのメニューについては「3月中に決める」としている。
牛丼チェーン店の「台所事情」は、円安による原材料や輸送コストなどの高騰で厳しい。そうした中で、大手3社の2014年1月の既存店売上高は、吉野家が「牛すき鍋膳」(580円)の好調を背景に、前年同月比14%増と一歩リード。すき家と松屋はいずれも1%減だったが、ようやく「底入れ」の兆しがみえてきた。
すき家も吉野家に対抗して、2月14日からはすき焼きメニューの「牛すき鍋定食」(580円)を投入。2月の売上高は前年同月比3.9%増と、じつに30か月ぶりにプラスに転じた。客数(0.5%増)と客単価(3.4%増)もプラスとなり、かなりの手応えを感じている。
ゼンショーHDは、「牛すき鍋定食は、新たな食事のシーンの提供を狙ったメニューです。牛丼には牛丼の、牛すき鍋には牛すき鍋の、それぞれにニーズがあります。牛丼の値下げによって客単価が落ちるとは考えていません」と説明。強気だ。