省庁再々編の一大事業になりかねない懸念
こうした現状に、政府・与党内から「出口のない掃除機」(ある閣僚)、「難しい仕事は内閣府に持ってきて、ごみ捨て場みたいだ」(伊達忠一・自民党参院国対委員長=後に発言を取り消し)などの声も聞こえ、14年1月31日の党総務会では高市早苗政調会長が「あり方を根本的に考え直す時期に来ているのではないか」と報告。政府側も、菅義偉官房長官が2月14日の衆院予算委員会で「府省庁横断的な仕事、課題が多くなっている」と応じた。
今後の議論は、自民党行政改革推進本部(望月義夫本部長)でまず進められることになる。
ただ、議論の方向は不透明だ。自民党内には、内閣府の見直しに合わせて内閣府と所管が重なる内閣官房も含めた組織の見直し論が出ている。また、2001年の省庁再編により誕生した国土交通省や総務省のような「巨大官庁」は1人の閣僚では見切れないとの問題意識から、「厚生労働省や総務省なども含めて見直すべきだ」(政府高官)との声も聞こえるなど、早くも議論百出状態。抜本的に改革しようとすれば省庁再々編の一大事業になり、「権益」を狙う官僚と族議員の動きが活発になるのは必至だ。
菅官房長官は「(内閣府の)処理が終わった部分は、それぞれの省庁に戻してくことが必要」と語ったが、内閣府は他省庁との併任職員を多く抱えるので、仕事を整理するにしても、省庁側は「それなら人も返せ」となりかねないなど、簡単ではない。
現在の省庁の姿を作った橋本政権の再編論議では、どの省庁もエース級を立てて予算と権限を奪い合う熾烈な「領地争い」を展開したのは記憶に新しく、「本格的な再編を目指せば3年間は行政が停滞する」(政府筋)とも言われる。省益争いは政権の体力を奪うのは確実で、政府側は自民党内論議を見守る構えだが、抜本改革まで進むとみる関係者は少ない。