バージニア州「『東海』併記法案」廃案の可能性 韓国系「日本がロビー活動」と危機感強める

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   「日本海」の韓国側の名称である「東海」(トンヘ、East Sea)を公立学校の教科書に併記するように求める法案がバージニア州で成立目前だとみられていたが、情勢に変化があり、急に韓国側が危機感を強めている。

   法案は上院と下院の両方で通過する必要があるが、日本政府のロビー活動で上院での審議が滞っているというのだ。このままの状態が続けば、そのまま廃案になる可能性もでてきた。

会期末の3月8日までに可決されないと廃案になる

   「東海併記法案」は、ほぼ同じ内容の2つの法案が別々に上院と下院に提出されており、それぞれの院を通過した法案を、もう一つの院で改めて審議する「クロスオーバー評決」と呼ばれる段取りになっている。

   最初に上院で可決された法案は「SB2」(デイブ・マースデン法案)と呼ばれ、2014年2月26日には下院の教育委員会でも賛成多数で可決。あとは下院本会議での採決を残すのみだ。問題にされているのは最初に下院で可決された「HB11」と呼ばれる法案(ティム・ヒューゴ法案)だ。上院の教育委員会で、法案審議の日程が決まらない状態が続いているというのだ。複数の韓国メディアによると、上院のルイス・ルーカス教育委員長(民主党)が意図的に法案を審議しようとしていないとの指摘もある。この状態が続いて会期末の3月8日までに可決されないと、法案は自動的に廃案になる。

   仮にHB11が上院で廃案になったとしても、下院でSB2が生き残っているように見える。だが、事態は若干複雑だ。上院は民主党が強く、下院は共和党が強いとされる。そのため、上院が民主党主導でHB11を廃案に追いやった場合、下院でも、共和党が民主党に報復する形でSB2の廃案を目指す動きを見せ、結果として2法案とも廃案になる可能性があるというのだ。

   法案成立を働きかけてきた「韓国系米国人の声」(VoKA)のピーター・キム会長は、3月1日に会見を開き、「法案が非常に深刻な状況に直面している」と危機感をあらわにした。その背景に日本政府によるロビー活動があると主張した。

   韓国のタブロイド紙「アジアトゥデイ」によると、HB11を提出したバージニア州のティム・ヒューゴ下院議員(共和党)は、韓国系住民の集会で、

「同僚議員の話によると、民主党の上院教育委員長が法案を上程しないのは、マコーリフ州知事(民主党)の指示によるものだ」

と明かした。

佐々江駐米大使が知事に「日本との経済的関係がダメージを受ける」と警告

   日本側のロビー活動の詳細な内容は明らかになっていないものの、13年12月末には佐々江賢一郎駐米大使がマコーリフ知事に書簡を送り、今回の事態で「日本との経済的関係がダメージを受ける」と警告したという経緯がある。14年1月には直接面会して同様の懸念を伝えてもいる。マコーリフ知事の法案審議に対する消極姿勢は、佐々江大使の働きかけが影響している可能性が高い。これに続く形で、日本政府はロビイストを使って議員への働きかけを続けてきた模様だ。韓国メディアは、日本のロビー活動は共和党と民主党の対立関係を巧みに利用していると分析している。

   もちろん、韓国側も黙ってはいない。韓国の大手通信社「ニューシース」によると、前出のピーター・キム氏は3月2日、上院教育委員会のメンバー19人に手紙を送り、法案を速やかに審議するように求めた。手紙は、韓国系米国人の政治力を露骨に打ち出す内容だ。

「バージニア州の韓国系住民は長い間、民主党と民主党の政治家たちの非常に強力な支持者だった。韓国系の76%以上が、2013年11月5日の選挙でマコーリフ知事や民主党の候補者に投票した。しかし、なぜあなたは、民主党と民主党の候補者のイメージを損なうようなことをするのか」

   さらに、「東海」併記を求める動きはバージニア州の周辺の州にも広がるとして、

「この地域には『キム(金)』と『リー(李)』という姓を書く8万9000人の韓国系アメリカ人がいることも覚えておくべきだ」

といった脅しにも近い文言もある。

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