おいしい病院食を工夫、レシピ本も 一流レストランに負けない味を提供する

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   病院の食事はまずいと思われているが、なかには、おいしいと評判の病院もある。

   2014年 2月22日、東京で開かれた、癒しの環境研究会では「おいしい! 病院食」をテーマに味自慢の病院がその工夫を披露した。

「がん専任栄養士」も誕生

   岡山旭東病院は料亭やホテルで経験を積んだ、和食、洋食 2人の料理長が若い管理栄養士、調理師を指導している。和田瑛一郎・管理栄養士によると、「病院らしくない食事」が目標で、毎月の職員誕生会、年 1回の業者との懇親会はパーティ料理を作り、正月や節分などの行事食、花見、納涼など年4 回の季節弁当も出す。また、月 4回はお菓子を手作りし、うち 1回はフルート演奏つきの茶話会をする。

   川口美喜子・大妻女子大学教授と、国立病院機構四国がんセンターの河内啓子・栄養管理室長は、がん患者さんの食事を話した。川口さんは2006年、前任の島根大学病院に、抗がん剤や放射線治療で起きる食欲不振や口内炎に個別に対応する「がん専任栄養士」を誕生させた。魚屋のご主人だった患者さんの希望で「うまいカレイの煮つけ」、お酒飲みには「お酒ゼリー」、小児がんの子どもにはキャラクター食などかわいいごはんを出した。川口さんはそのレシピ本を出版している。

   四国がんセンターは2006年の新築移転時から希望者に、抗がん剤治療による食欲不振用の「坊ちゃん食」、口内炎・歯肉炎の「漱石食」、嚥下障害の「マドンナ食」を用意している。調子により選択でき、個別に近い対応をする。2010年に外来で抗がん剤治療を受けている患者さんを調査、46%が「味覚が変化」し、とくに塩味とうまみを感じなくなった人が多いとわかった。このデータからさらにメニューを工夫するとともに、栄養士が外来患者の食事相談を受けるようにした。

   旧・きよせの森総合病院は2014年 2月に移転して、アルテミスウイメンズホスピタル(東京都東久留米市)となった。土屋忠保・料理長は減塩と脱化学調味料、食材にこだわり、一流レストランに負けない病院食を追究している。産婦人科中心の病院だが、おいしい病院食と評判でレシピ本が出て、新聞・テレビでも紹介された。

   キッコーマン総合病院(千葉県野田市)の猪瀬凡穂・管理栄養士は、食品企業立病院の利を生かし、ダシ重視・減塩の「日本一おいしい病院食を目指す」取り組みを紹介した。

(医療ジャーナリスト 田辺功)

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