震災で壊滅した大槌町の中心市街地跡に、ピラミッドの底辺部分に似た巨大な盛り土が、その姿を現しました。丘のようになった盛り土は4か所。「先行盛り土」、もしくは「試験盛り土」と呼ばれ、盛り土により、その自らの重さで、どの程度、地盤が沈下するかどうかが計測されます。約半年、沈下が落ち着いた段階で、本格的な盛り土工事が始まります。
大槌町では、東日本大震災と同じような規模の津波に襲われた場合、新たな防潮堤と、高台移転、盛り土により、住民の命、財産を守ろうと、復興事業が進められています。このうちの盛り土は、土地区画整理事業の一環で、盛り土の上に住宅が建設されます。
盛り土は、地域によって、高さが違います。先行盛り土が始まった中心市街地の町方(まちかた)地区では2.2メートル、吉里吉里地区は平均4メートル、赤浜地区は平均6~6.5メートルです。
それぞれの盛り土の高さを確保するために、ほぼ倍の高さまでに土砂を積み上げ、地盤が安定したところで、めざす高さまで削り込む手法がとられています。例えば、町方地区の場合、先行盛り土の高さは約5メートル。沈み込んだ後に、2.2メートルまで削られます。
大槌町で必要とされる土砂量は約140万立方メートル。隣の山田町で高台を崩した際に出る土砂を大槌町が活用する相互協定が、昨年秋に結ばれました。山田町から運ばれる土砂量は、必要量の半分の約70万立方メートル。一日に運ばれる土砂量は最大、3千トンとされ、両町を結ぶ国道45号をダンプカーが行き交っています。交通安全対策として、トラックは左折のみで通行する、運行を管理して台数を制限する、といった措置が講じられています。
町方地区の先行盛り土は、昨年秋から始まりました。底辺45メートル四方が3か所、40メートル四方が1カ所。場所によって、地盤に硬軟の違いがあるせいか、沈み込んだ深さが場所により、今年1月末で、47.5センチ~16.4センチと幅があります。本格的な盛り土工事が終わるのは、早い場所で2015年度後半。住宅を建て、住めるようになるのは2016年度前半になりそうです。
(大槌町総合政策課・但木汎)
連載【岩手・大槌町から】
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