PM2.5汚染が日本でも深刻な状況に 発生源の中国になぜ強く出られないのか

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   日本国内でPM2.5の汚染が深刻になっているが、発生源とされる中国に対し日本政府から要望やクレームなどは出されていない。外交的配慮でもあるのかと、疑問の声も上がっている。

   「今日PM2.5すごいらしいね」「確かに遠くが霧がかってて見えない!」。PM2.5の濃度上昇が報じられた2014年2月26日、ツイッターではこんな不安の声が相次いだ。

外務省は「注視しています」と及び腰

   報道によると、西日本を中心に、国の基準になる大気1立方メートル当たり平均70マイクログラムを超えるところが続出し、過去最多となる10府県が注意喚起を行った。平均100マイクログラムを超えた新潟市のような高濃度のところもあったほどだ。

   この濃度上昇について、高気圧の動きで中国から空気の塊が流れ込んだとみられると報じられている。ところが、日本政府として今回、中国に対し、何らかの要望などはなされなかった。中国の汚染がクローズアップされた13年1月以降も、そのような動きは出ていない。

   外務省の中国・モンゴル第二課では、取材に対し、日本の環境に影響を与えかねないとしながらも、「日本政府として高い関心を持って注視しています」と話すに留まった。その理由について、PM2.5はどこでもありうる現象であり、中国が発生源かどうか科学的にはっきり分からないことを挙げる。そのため、中国に要望などをするところまではいかないというのだ。

   尖閣諸島などを巡って関係が悪化している中国への外交的な配慮があるかについては、担当者は否定した。

   もっとも、日本はかつて公害を克服してきた経験があるため、中国側にはその経験を生かして協力する用意があると伝えているとはしている。

   とはいえ、その協力もうまくいくとは限らないようだ。

中国側が日本の協力を拒んでいる?

   報道によると、石原伸晃環境相は2013年3月の講演で、PM2.5観測機器の無償提供や研究者の受け入れを申し入れたところ、中国側は難色を示していると明かした。北京での汚染は、日本の基準の20~30倍といい、それでも「正確なデータを中国がなかなか出さない」と指摘した。

   中国側は、経済成長を優先しており、データを明かすことによる影響を懸念しているともされている。アメリカが中国国内の公館で汚染を測定してデータを公表したところ、中国政府が「内政干渉だ」と反発したと12年6月に報じられたこともあった。

   また、PM2.5汚染について、中国側は、日本を含めた外資系の企業に責任があると主張したり、中国ではなく自国で起きた汚染だと指摘したりしたとも一部で報じられている。

   アジアでは、欧米諸国で1983年に発効した長距離越境大気汚染条約のように、PM2.5を国際的に規制するものはまだない。その対策については、日中韓の環境相会合が13年5月に開かれ、政策対話の初会合が14年3月に北京で開かれることになった。しかし、そこで規制を盛り込んだ条約案などは議題になっておらず、実効性ある対策のメドはまだ立っていないようだ。

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