浅田真央と金妍児(キムヨナ)――。ふたりの女子フィギュアスケーターの「ライバル物語」は、ソチ五輪をもってひとつの区切りがついた。
演技終了後、浅田選手はある興味深いエピソードを明かした。キム選手から日本語で「お疲れ様」とねぎらいの言葉がかけられたというのだ。日本語を話す姿は、これまであまり見られなかった意外な一面かもしれない。
内田アナに日本語で「お腹がすいた?」
キム選手はソチ五輪での記者会見で、浅田選手について聞かれた際に「私たちほど常に比較され、試合をしてきた選手はいないと思う。お互いに立場を理解でき、彼女の涙を見たときは私もこみあげてくるものがあった」と共感を示した。さらに「これまで本当にお疲れ様と言いたい」と続けた。
これはリップサービスではなかった。2014年2月23日放送の「S1」(TBS系)でシドニー五輪の女子マラソン金メダリスト、高橋尚子さんと対談した浅田選手は、ソチで交わされたキム選手との会話を明かした。浅田選手の方から「おめでとう」と声をかけ、一緒に写真を撮ったのだという。すると、
「お疲れ様って……日本語で『お疲れ様』って(言ってくれた)」
と笑いながら話した。ジュニアのころから否応なしに比べられ続けてきたふたりだけに、この短いやり取りで十分だったかもしれない。
キム選手が日本語を話すのは珍しい気がするが、実は過去に出演したテレビ番組で披露していた。2009年5月に放送されたトーク番組「グータンヌーボ」(フジテレビ系、2012年放送終了)に登場した際、初対面だったフリーアナウンサーの内田恭子さんに日本語で「こんにちは」とあいさつ。しばらく英語で会話した後、内田さんから「コーヒーでもどうですか」と勧められるとまたも日本語で、
「お腹がすいた?」
とたずねたのだ。内田さんは日本語を予期していなかったようでびっくりしつつ、大笑い。しかし「日本語が分かるんですね。今、私が何を話しているか分かりますか」と問いかけると、「えっ」とやや困り顔になって黙ってしまった。その後も、トークの最中にいきなり「違う」と口にしていたキム選手。長いセンテンスは分からないが、単語レベルなら多少理解していたようだ。